レース中にもサーキットには雨の第2波が襲来し、終盤以降スリックタイヤを履くためピットレーンに飛び込んだ王者サットンらのギャンブルが裏目に出るなか、ダン・カミッシュ(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)とジョシュ・クック(LKQユーロ・カーパーツ・ウィズ・シネティック/トヨタ・カローラGRスポーツ)のFF勢を抑え切ったヒルが充分なマージンを築き、ペナルティのビハインドを跳ね返す連勝劇を飾った。
迎えた最終レース3でもウエットタイヤを装着したヒルのBMWに対し、路面状況は周回が進むごとにみるみるドライアップが進んでいく。序盤でほぼ10秒の差を築いたとき、ヒルの賭けは成功したかのように見えたが、ここで後方14番グリッドから驚異的ペースで這い上がったのが元世界王者だった。
終盤戦に向けカラーリングの異なるカローラに乗るクックやエイデン・モファット(LKQユーロ・カーパーツ・ウィズ・シネティック/トヨタ・カローラGRスポーツ)を仕留めたハフは、温存していたオプションタイヤと制限のない共通ハイブリッド機構の出力も活用し、そのまま首位のヒルを捕まえることに成功。詰め掛けたファンを沸かせるセンセーショナルな走りでチェッカーを受け、トヨタ陣営のスピードワークス・モータースポーツ(SWM)に歴史的なワン・ツー・スリーの勝利をもたらした。
「こうしてまたBTCCで勝てるなんて! これこそ僕がここへ戻ってきた理由だ」と、自身2004年の同地スネッタートン以来となる劇的な勝利を収めたハフ。
「週末を通してクルマの感触は素晴らしかった。到着時のセットアップからほとんど変更を加えず、チームは素晴らしい仕事をしてくれたんだ。変わりやすいコンディションにはつねに自信を持っているし、スリックタイヤでのレース2は再度の雨が落ちるまでとても良い感じだったんだよ」と続けたハフ。
「最後のレースで14番グリッドから優勝できたのは素晴らしいこと。トヨタは本当にうまく調整されており、まさに今季に向け僕が探していたものだ。チームは本当に成果を出し、カローラは僕に必要なものをすべて与えてくれた。そんなクルマが手元にあれば、全力を尽くす以外に選択肢はないよ」
「エイデン(・モファット)とジョシュ(・クック)の両方と素晴らしい戦いをしたし、ホームトラックで勝利を持ち帰ることができたのは本当に素晴らしい。2004年のスネッタートンでの勝利を再現することは、僕だけでなく家族や友人にとっても非常に特別なこと。今後も勝ち続けるつもりさ!」
レース1の3位表彰台を最後に、開幕から続いてきた連続表彰台記録が“7”で途切れた王者サットンが、それでも10ポイント差で選手権首位を堅守した週末。続くBTCCのシーズン第4戦は6月7~9日にスラクストンで争われる。



