更新日: 2024.06.04 18:03
王者待望の勝利はラスト2周に消ゆ。ペンスキー対決制覇のシンドリックが今季初優勝/NASCAR第15戦
「こんな日を過ごす余裕はないんだ」とシーズン初のDNFに加え、今季未勝利でプレーオフ進出にも黄色信号が灯るブッシュ。「ダメージがひどく35位、一方でヤツ(ラーソン)は10位。向こうがルーズになって体当たりし、こちらのレースを完全に破壊し全滅させたんだ」
このステージ2ブレイクでもステイアウトを選択したチーム・ペンスキー陣営は、レースを通じてライバルよりも少ないピットストップ回数で戦い抜く戦略を採り、最終ステージに向けた149周目のリスタートをワン・ツー・スリーフォーメーションで始める。
早めの最終ピットで後方に“潜伏”し、周囲がルーティンに向かった217周目にはブレイニーがついに首位へと浮上。その背後からベルのカムリXSEが迫ってくる。
ここから前後を入れ替えながらブレイニーを仕留めに掛かったベルだったが、ここで突如エンジンの不調に見舞われペースダウン。最後はマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)から再三のプッシングを受けながら、失意の7位でチェッカーを受けた。
「何が起こったのかまったく分からない。勝ちに行った途端に何らかのエンジンの問題が発生した」と、その瞬間には無線で悲痛な叫びを上げたベル。
「最後まで走れたことに驚いている。何とか切り抜けることができて良かったよ。こんなレースカーは滅多にないし、いつだってそれを利用するしかない。だからこそ残念な1日だった……」
これで仇敵が去り、悠々のクルーズに入った王者ブレイニーは、背後のシンドリックに約1.2秒のマージンを持ってラスト2周へ突入。しかしここで、チャンピオンの12号車にも悲運が訪れる。
ホワイトフラッグが揺れる直下のスタート/フィニッシュラインでスローダウンを喫した僚友の傍を、本来のレーシングスピードを維持したシンドリックの2号車が通過。この瞬間、ブレイニーの手から勝利がこぼれ落ちることとなった。
「僕たちの(早めのサイクルで176周目に入った)ピットタイムが足りないなんて、考えたこともなかった」と、燃料がショートだとは想定していなかったと明かしたブレイニー。
「そういうことだった。あぁ、12号車のクルーたちを誇りに思う。僕らは速かった。クリストファー(・ベル)を抑えるのに苦労したけれど、あれも楽しい戦いだった。彼に何が起こったのか分からないけれどね」
「本当に……本当に1周足りなかった。心底、残念だ。オースティン(・シンドリック)と2号車のチームにおめでとうを言いたい。彼らは1日中いい仕事をした。チーム・ペンスキーとフォードを誇りに思うよ」