更新日: 2024.06.25 17:03
早期スタートに終盤遅延。雨対策で6時間超のウエットタイヤ戦をトヨタのベルが制覇/NASCAR第18戦
そう語った瞬間、自分が間違いを犯したことを悟ったベルは笑顔でマイクから顔を背け「いつだって……何て言ったらいいのか分からないよ」と苦笑い。これにパドックはすかさず反応し“もうひとりのチェイス”ことチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)のチームメイトであるカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)は、本音混じりの冗談として次のようなコメントを自身のSNSアカウントで発信した。
「このニュースにはまったく驚かされたよ! @chaseelliottが@JoeGibbsRacing での新しい冒険で成功することを祈っている。チームメイトとして君と過ごせて楽しかったよ!(笑)。幸運を祈る」
そんな喧騒に沸くパドックへ土曜現地入りした“本命の当事者”ブリスコも「ちょっと笑っちゃった。なかなか良かったよ」とベルの“失態”を歓迎した。
「クリストファーらしい。かなり面白かったね。つまり、みんな何が起きてるかわかってる感じだよね? 公式発表はいつになるかわからないが、近いうちに何かアナウンスがあることを期待している。僕はそれほど怒っていないし、ちょっと面白いとさえ思ったよ」
そんなドラマが繰り広げられる間、現地1.058マイルのオーバルにはまとまった雨雲が襲来しており、NASCAR運営側は土曜予選の正式キャンセルを決定。実に39戦続いて来た予選セッション実施の記録が途絶えるとともに、NASCARの“パフォーマンス・メトリック”に従って、選手権首位のチェイス“エリオット”が王者ライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)とともに、決勝最前列に並ぶことが決まった。
しかし明けた日曜も雨が降り、路面が乾くのを90分間も待った後にわずか5分だけ走行した追加のフリープラクティスでは、カーソン・ホセヴァー(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が最速を記録。ただし夕刻に向け雨量は増えるとの情報も踏まえ、予定されていた301周を完走するのに充分な時間をチームに与えるべく、NASCAR主催側は14時06分に早めのレースを開始する。
しかしファイナルステージ残り82周で風雨が強まると、ここから2時間14分の赤旗ディレイが発生。レースは早期終了の判断も迫られるなか、日没前に最後の4分の1を走れる機会があると判断した運営側は、現地18時43分にリスタートを決断する。
ここでチームには雨天用の新開発ウエットタイヤが与えられ、残り73周のグリーンフラッグ以降は急速にドライアップが進む路面で、その摩耗を管理する技術が求められることに。
バンクのボトムラインよりさらに内側のエプロンまで活用し、濡れた路面やレインタイヤでもグリップする舗装を探した各車は、いつもより大きな速度差を生む状況となり、難しいコンディションのなかスピンやクラッシュを喫するドライバーが多発する。
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