迎えた土曜午前のレース1は、開幕勝者のチームメイトであるジミー・エリクソン(ブリンク・モータースポーツ/テスラ・モデル3)の襲撃を受け、サイド・バイ・サイドの状態でターン1に突入したブリンクが僚友との接触により車速を失うと、ここで「予選ではターン8のウエットパッチでタイムを失っていた」と明かしたダールグレンが棚ぼたの展開でトップに立つ。
しかし、すぐさま反撃に転じたブリンクは、わずか数コーナーでクプラからトップの座を奪い返し、そのまま後続に5秒近く差をつけてのBEV時代初優勝を飾った。
続く午後のレース2ではスタート直後に多重クラッシュが発生し、マンツ・タリン(エクシオン・レーシング/BMW i4)が起因となりアクセル・ベングトソン(PWRクプラ・スウェーデン/クプラ・ボーン)に追突。その余波でエースのダールグレンがコースアウトを強いられスピンを喫し、このアクシデントの責任で両名に5秒加算のペナルティ裁定が下る。
さらなる混乱はターン2でも続き、代役出場の“シリーズCEO”がまさかの発端となり、エリクソンのテスラとオーソンのID.3を巻き添えにしてリタイアに追い込み、ここでセーフティカーが導入される。
こうした混乱もどこ吹く風。リスタート以降も首位を守り抜いたブリンクは、僚友ミカエル・カールソン(ブリンク・モータースポーツ/テスラ・モデル3)と新鋭エングストロムのBMWを従え連勝。この結果、ダールグレンに2ポイント、カールソンに7ポイント差をつけ選手権首位に浮上した。
「獲得ポイント満点の意味でも、素晴らしい週末だった」と満足げな表情を浮かべたブリンク。
「この2戦ともに非常に厳しいレースで、バックミラーで混乱しているように見えても自分のレースに集中しようとしていた。地元で結果を出すのはいつも素晴らしいことで、僕らは今、とても速いクルマを手にしている」
一方、シリーズ開催延期の2023年を跨ぎ前年度2022年の王者であるダールグレンは、予選でのペース不足とレース2での混乱から挽回を強いられた複雑な状況を嘆いた。
「レース1はコンタクトこそ多かったが、そこそこ楽しめた。でもレース2では本当の混乱に巻き込まれた。蹴り出しからプッシュ・トゥ・パスを使用して(ポールシッター)ブリンクのアウト側を狙ったが、後ろからぶつけられた。プレシーズンテスト後の状況を考えると、これでもまずまずと言わなくちゃならないんだろうけどね」とダールグレン。
初開催のパーマネントコースでは、BEVによる回生ブレーキの影響か、王者の懸念どおりブレーキングで目測を誤ったりコントロールを失う車両も散見された新生STCCシリーズ。続く第3戦は、8月23日~24日にヘルシンボリの市街地戦にて、通常フォーマット採用で争われる。


