資金的な不利もあってか、アトランティックでもその上のインディライツでもヒンチはチャンピオンにはなれなかった。それでも才能を認められ、インディカーへは名門ニューマン・ハース・レーシングからデビュー。トップ10フィニッシュ7回(ベストフィニッシュの4位が3回とルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。
翌12年からはアンドレッティ・オートスポートに起用され、2013年にセントピーターズバーグ、サンパウロ、アイオワで優勝した。しかし、2015年シーズンを迎えるにあたってチームが彼のマシン用のスポンサーを喪失。行き場を失いかけたが、シュミット・ピーターソン・モータースポーツにシートを確保し、ニューオリンズで優勝した。

デビュー以来レギュラーシートを確保し続けて来た彼は、今回のロングビーチで通算5勝目をマークした。実は、31勝を挙げたポール・トレイシー(PT)を除いて、カナダ出身ドライバーはなぜだか5勝止まりとなるケースが多いのだ。
ヒンチは言う。
「4勝を挙げた時にグレッグ・ムーアとジャック・ビルヌーブの優勝回数が5回だと聞いた。パトリック・カーペンティアも同じく5勝。彼らと並べたことはとても嬉しい(スコット・グッドイヤーも5勝)」
「グレッグは僕の子供時代のヒーロー。ジャックにも憧れていた。グレッグのチームメイトになったパットにも注目していた。カナダ出身ドライバーとして、僕の担う責任は大きい。PTの勝利数はとても多くて追いつくのは難しいかもしれないが、あと何勝かは挙げたいものだね」
シュミット・ピーターソン・モータースポーツはジワジワとだが着実に能力を高めている。今年はチャンピオン争いへと絡んでいく可能性十分だ。