そのドーブルもポール争いに加わった予選では、シリーズを牽引する主役級のふたりが熾烈なバトルを繰り広げ、ここドニントンのGPサーキットで3年連続のポールポジション獲得を目指していたターキントンを、わずか0.071秒差で撃破したクックのカローラがトップの座を奪取。今季ここまでに2勝と複数の表彰台を獲得している前輪駆動巧者が、移籍後初のポールシッターとなった。
「クルマは本当に良かったし、思いどおりに操ることができた」とカローラの手応えに満足げなクック。
「なんとかうまくやれたが、クルマのなかは本当に忙しかったから、まだ息を整えているところだよ(笑)。いくつか変更を加え、それが適切な位置に到達して1周をまとめられた。それが重要だった。チームの努力には大きな功績があるし、明日はこれを大きな結果につなげる必要がある」
そう語ったクックだったが、迎えたレース1のスタートではフロントロウに並んだBMWが完璧なホイールコントロールを見せ、そのままチェッカーまで突き進む展開に。
オープニングラップの背後では最終コーナーでドーブルのヴォクスホールと接触した選手権首位のトム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)が遅れ、ダニエル・ロウボトム(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)がパンク。さらにシケインではアンドリュー・ワトソン(TOYOTA GAZOO Racing UK/トヨタ・カローラGRスポーツ)がタイヤバリアに激突し、ここでセーフティカー(SC)が投入される。
この直前にクックを攻略していた王者サットンが2番手でリスタートを決めると、対照的にイエロー&グレーのカローラはシケインで派手なスライドを演じ、タイトル候補のジェイク・ヒル(レーザー・ツールズ・レーシング・ウィズMBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)にも先行を許す展開に。
これでSC介入や終盤のチャンピオン猛追にも動じなかったターキントンが“3戦連続のレース1制覇”を飾り、サットン、ヒルの続く表彰台に。4位クック(最終的に週末全戦で4位を記録)の背後にはイングラムがカムバックを見せるトップ5となった。
続くレース2は選手権の覇権争いに新たな展開をもたらし、オープニングラップのオールドヘアピンでサットンが首位浮上に成功。首位発進のターキントンにイングラム、ヒルの追撃集団を従える。
ここで共通ハイブリッド機構の展開を強化したイングラムがBMWを仕留めて2番手へ。王者サットンを追い詰めるモードへ突入するも、エンジン温度の上昇に苦しんだヒョンデは冷却水漏れで敢えなくピットへ。そのままサットンはタイトル争いのライバルであるターキントンとヒルに決定的な勝利を収め、新たなポイントリーダーとなったヒルがリタイヤのイングラムに対しリードを広げる結果となった。