更新日: 2024.09.06 17:54
連続ポールポジション獲得記録堅持の王者キスが週末2勝、ロドリゲスが総合初優勝/ETRC第5戦
明けた日曜は、前日とは異なり予選Q3の最初のラップでほぼ0.5秒のアドバンテージを獲得したキスが年間全制覇記録を更新。一方、ハルムのイベコは予選が始まる前のウォームアップセッション中にステアリングの奇妙なトラブルに見舞われ、コラムに取り付けるホイールの中央部分が外れてしまう。この原因不明のトラブルで自信を喪失したか、彼女はQ3進出を逃す結果に終わる。
迎えたレース3は結果こそキスの勝利に終わるも、他の14勝とは異なり、この15勝目はリヤバンパーに張り付いたハーンの存在により「予想以上にプッシュせざるを得なかった」ことを認めた。
「ライバルが昨日と比べてかなり進歩したので、彼らはいい仕事をしたんだと思う」とチェッカー後に振り返ったキス。「レースペースは尋常でないほど速かった。僕らは(ポールタイムの2分1秒263に対し)つねに2分2秒台でラップし、3秒台はなかったと思う。これはとんでもなく速いペースだ」
「レースの間はずっと、彼(ハーン)は僕にとても接近していたので、僕は自分自身とトラックを限界まで追い込んで、少しのギャップを保って前にいようとしなければならなかった。そうすれば、彼は追い越しを試みられないからね」
一方、現役王者に対し挑戦者の戦いを強いられ続けているハーンも「接戦だったが(キスに)技術的な問題があったのか、それとも僕と戯れていたのかは分からない」と、自身のパフォーマンスにまだ懐疑的な部分があると明かす。
「このレースでは、僕たちは同じレベルで勝利のために戦った。トラックに座って『ああ、可能だ』と思ったよ。そしてプッシュしてプッシュしてプッシュし、ラップタイムを見ると昨日より0.5秒以上速かったんだ」と続けた帝王。
「これは我々が進歩しているだけでなく、この瞬間に自分の頭脳や技術も向上していることを意味する。それはまさにモチベーションのようなものだ。チームの懸命な努力に感謝するよ」
集団内では今朝の問題がまだハルムを悩ませていたようで、総合順位でライバルたちと戦うためにクロームドライバーたちをかわすのに苦労した彼女は、このヒートで8位まで浮上し、最終のレース4に向け挽回の機会を得るリバースポール発進の権利を手にする。
しかし大事なスタートで周囲のクローム登録陣営に先行を許したハルムは万事休す。フロントロウに並んでいたマーク・テイラー(テイラーズ・トラックスポーツ・レーシング/マン)を巧みにかわした3列目発進のロドリゲスが、アウト側からのスイッチバックで首位を奪取。そのままETRCで初の総合優勝を決めてみせた。
その背後ではアルバセテとハーンの接触バトルに乗じてキスが今季20回目の表彰台に登り、最終的にテイラーを仕留めたハーンも最後のお立ち台へ。やはり実力者たちが強さを発揮し続けるFIA ETRCの2024年シーズンは、モストを終えて次戦で大詰めの第6戦へ突入。9月28日~29日にフランスはル・マンのブガッティ・サーキットで天王山を迎え、10月5日~6日にスペイン・ハラマでの最終戦へと続いていく。