更新日: 2024.09.14 22:52
最終戦での逆転は16年で5回、勝負のカギはタイヤ戦略。パロウvsパワー、王者の行方は?/インディカー最終戦ナッシュビル
最終戦の舞台は過去15年間インディカーのレースが行われてきていないナッシュビル・スーパースピードウェイだ。全長は1.33マイルでショートオーバルの範疇に入るが、コーナーに14度、ストレートにも6度と9度のバンクがつけられていることからスピードは高い。
2008年のポールポジション・スピード=204.519mphまでは行かないものの、今年のアイオワ(188mph台)やマディソン(178mph台)よりは明確にスピードが高いポールポジションとなるだろうし、レースでの平均スピードもアイオワ、マディソン、ミルウォーキーより高く、コーナーでスロットル・コントロールが必要な、高いドライビングスキルの求められるレースとなると見られている。
ほぼ未知のコースでの難しいレースになるというのに、大方のドライバーたちは、レースウイークエンドがナッシュビル初走行となる。
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それに加えて、最終戦にはプライマリーとオルタネートのタイヤ2種類が用意されることになった。2008年以来の開催なのだから、今年ぐらいはタイヤは1種類で良かったのでは?とも思うが、インディカーの首脳陣と技術スタッフはチャレンジ精神に富んでいり、オーバルでの実績が昨年のマディソしかなく、今年のマディソンで採用されなかった2種類のタイヤによる戦いにゴーサインを出した。
それでシーズン最終戦、今年6戦目となるショートオーバルでのレースがおもしろくなれば文句は一切ない。
ただし、最も大切なことは、チャンピオン争いもエキサイティングになること。インディカーの思惑通りにオーバーテイクの回数が多くなり、タイトルコンテンダーたちが抜きつ抜かれつのバトルをクリーンに、そしてフェアに繰り広げてくれたら最高だ。
今シーズン半ばからハイブリッドシステム搭載でマシンは重くなっており、ナッシュビルはバンクが急でスピードも高いため、マシンやタイヤにかかるGフォースは大きい。さらに、コースの路面はアスファルトより摩擦係数の大きいコンクリート。タイヤに厳しい条件がズラリと並んでいる。タイヤトラブルはゼロであって欲しい。
各エントラントに供給されるのはプライマリータイヤが6セットと、オルタネートタイヤが4セット。プラクティス、予選でもオルタネートタイヤを使ってよいルールで、レースでは少なくとも1セットのプライマリータイヤと、2セットのオルタネートタイヤで2ラップ以上走行することが義務付けられる。ただし、それらが新品である必要はなく、ユーズド・タイヤでもオーケー。予選で使うタイヤも、新品とユーズド、いずれも可とされる。
2種類あるタイヤ両方にマシンセッティングを合わせ、デグラデーションを最小限に抑え、グリップの下がったマシンでもコントロール能力を発揮し続ける……。
そんな戦いでアドバンテージを手にするのはパロウか、パワーか。今年のこれまでのオーバルレースから見て、マクラフラン、オーワード、コルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル/ホンダ)、サンティーノ・フェルッチ(AJ・フォイト・エンタープライゼス/シボレー)、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シボレー)も手強そうだ。
(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)