ひどく損傷したテスラを、続くレース2までに修復しようとクルーが時間との戦いを繰り広げるなか、懸命の作業を見つめるブリンクは「大丈夫だと思う。クルマは安全だった。でも今はレース2に出場するために時間との戦いが最優先だ」と窮地に陥った現状を冷静に振り返った。
「後ろからぶつけられたことで、その後は『お休み、ねんねしな』さ。このクルマでは後方が何も見えないから、どうしてそうなったのか。映像を見返さない限りまったく分からないね」とブリンク。
なんとか修復の間に合ったテスラがフロントロウに並び、迎えた現地午後14時半の今季最終ヒート。ポール発進を決めたエリクソンがブリンクに先んじてターン1のホールショットを決め、5番手発進だったカールソンも、この加速勝負で3番手にまで躍進してターン1のポジションを奪う。
続くターン2では前戦の接触でペナルティ裁定を受けたバーグマンが、僚友のマンツ・タリン(BMW i4)と絡んでサスペンションが壊れ、即リタイアに。オープニングラップの終了前にはさらなるドラマが展開し、修復なったテスラで懸命に戦う意思を見せたブリンクが、最終コーナーに向かう途中でブレーキングが遅れ、ラインがはらんだところでベングトソンのクプラと絡みスピンオフ。これでベングトソンはホイールが破損してリタイアとなり、ブリンクのテスラは最後尾まで下がり実質的に初代EV王者の夢はここで潰えてしまう。
これでSCが去った後は、首位エリクソンがカールソンを従えトップチェッカーを受け、3位には執念の猛追撃を披露した“4冠”王者ダールグレンの続くトップ3に。この結果、2位カールソンがエリクソンに7ポイント差をつけ、初のSTCCタイトルを獲得した。
「信じられない気分だ! シーズン中からずっと速かったし、チームは素晴らしい仕事をした。彼らとこのタイトルを分かち合えるのは素晴らしいことだ」と望外の喜びであることを明かした新王者カールソン。
「最後のレースは実はかなり穏やかで、楽しみのためにプッシュ・トゥ・パスを使う機会さえあった。2024年のSTCCチャンピオンだと言えるなんて、信じられない気分だよ」
一方、チームメイトのブリンクは最終戦に選手権首位で臨みながら、クラッシュやアクシデント絡みの2戦を経て失意のランク3位でシーズンを終えた。
「ミッケ(カールソン)の活躍にはとても満足しているが、もちろん自分自身にはがっかりしている」と続けたブリンク。
「シーズン最終戦に臨んだとき、タイトルはほぼ確実だと思っていた。しかしレース1でクラッシュしてしまい、最後のレースに向けマシンを整備するため猛烈に努力した。残念ながらグリップが足りず、タイヤ交換も必要になり勝利を狙うことはできなかったよ」


