更新日: 2024.10.11 14:30
3冠王者セラが“祭典”制覇の通算26勝目、現役王者も逆転勝利でマッサは選手権首位奪還/SCB第9戦
このピットレーンクローズ前に作業を終えていたライスト、セラ、マッサ、さらにリカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)らが主導権を奪うと、終盤にはカミーロとベテランのフリオ・カンポス(ポール・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)がターン1で絡み、この日2度目のSCが導入される。さらにこの段階で、ライストに対し「最初のリスタートにおけるプッシュ・トゥ・パスの運用」について審議中であることがレース運営側から通知される。
それでもセラのプレッシャーを振り切り、先頭でゴールラインを通過したライストだったが、フィニッシュ数時間後には「リスタート後の最初のラップを完了する前に作動したオーバーテイクボタンの不適切な使用」により、合計レースタイムが20秒加算されるペナルティを受け、セラの勝利と2位ゾンタ、3位マッサの表彰台が確定した。
「勝つのはいつだって良いことだ。例え、このような望む展開のモノではなかったとしてもね。しかし勝利は勝利であり、僕らはチャンピオンシップに向けて良いポイントを獲得している」と、WEC世界選手権レギュラーも務めるセラ。
しかし3冠王者のシボレーは翌日のレース2でスタート早々に息絶え、コースサイドに停車することに。そしてポールを射止めていた鈴木もまた、トラブルに見舞われ最後尾に後退する失意の展開となる。
そんななかリードを奪ったのがTOYOTA GAZOO Racingブラジル陣営の一角を担うカミーロで、首位グループのなかで義務付けられたピットストップをいち早く完了し、ここで2本交換を決断。次のラップでアンダーカットを狙ったカサグランデも封じ込んでいく。
しかし粘り強くカローラのテールを追い続けたチャンピオンのシボレーは、最終ラップ突入と同時にプッシュ・トゥ・パスが有効化されたことで決定的なオーバーテイクの機会を手にし、そのまま大逆転のトップチェッカーを受けた。
「レースは終わる瞬間まで本当にわからない(笑)、チームはボタンの管理で僕を大いに助けてくれたよ」と、タイトル防衛に向け貴重なポイントを積み重ねたカサグランデ。
「チアゴ(・カミーロ)と同時にプッシュを発動したとしても、追い越しは難しい。そこで僕は何か違うことをしようと試み、チームの助けを借りて、彼が追い越しボタンをいつ押すのか、あるいはそうでないのかを知ることができ、勝つことができたんだ」
一方、週末を通じて連続の3位表彰台を得たマッサは、獲得ポイントを696まで伸ばして12ポイント差でリーダーの座を奪還した。
「我々にとって素晴らしい結果だ。チームとして並外れた仕事をしたし、ピット戦略であろうと、クルマの持つ速いレースペースであろうと、昨日も今日もあらゆるチャンスが僕らに訪れた」と満足げなマッサ。
「ここにいて、レーストラックを埋め尽くしているすべてのアルゼンチンの兄弟たちに盛大なキスを贈ろう。彼らはモータースポーツに深い愛情を持っており、それは多くの国々にとって模範となるだろうね」
こうしてアルゼンチンの旅を終えたSCBは、今月10月はブラジル国外に留まり、新たな境地を開拓する準備を進行中。続く第10戦は同月24~26日に初開催地のアウトドローモ・ヴィクトル・ボラット・ファビーニこと、ウルグアイはエル・ピナールにて争われる。