更新日: 2024.11.16 00:43
ホンダのエース不在のなか新型プジョーが2勝目。王者バカンが初の連覇を達成/TCR豪州最終戦
これで修復後のダルベルト車は僚友ウィル・ハリス(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/エクスクルーシブ・スイッチボード・ウォール・レーシング)が引き継ぐこととなり、予選ではポールポジション争いに絡んでのフロントロウ2番手を獲得してみせる。
そのシビックを上回ったのは、同じく前戦のクラッシュでタイトル獲得の望みに大きな打撃を被ったスーターのアウディで、ディフェンディングチャンピオンのバカンに挑むべくヒョンデを2列目3番手に追いやり、自身初のポールシッターに輝いた。
迎えた土曜レース1は、スタートでアウディに仕掛けたハリスのホンダが行き場を失い、コースオフで早々にポジションを落とすと、レースリーダーの座を狙ったバカンも名所“フォレスト・エルボー”でスライドを抑え切れず、背後のディラン・オキーフ(リンク&コー03 TCR/アシュリー・シュワード・モータースポーツ)に先行を許す。
これで先頭集団の順位は決し、起死回生のポール・トゥ・ウインを飾ったスーターは3位に甘んじたバカンに対し28ポイントにまで差を縮めて日曜を迎えることに。するとここでまず主役に躍り出たのは“伏兵”と言っていい新人ノウルズで、初参戦のアウディでレース2に向けたポールポジションを射止める大仕事を成し遂げる。
しかし18歳の夢はスタート早々に打ち砕かれ、ブラッド・ハリス(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/エクスクルーシブ・スイッチボード・ウォール・レーシング)とライアン・カシャのプジョーが接触し、その巻き添えとなったノウルズはリードを失ってしまう。
これで主導権を得たのが2列目と3列目から先頭に躍り出たプジョーのコックスとベン・バルグワナ(プジョー308 TCR/ハンチャ・レーシング)で、後者こそ4周目に新型プジョーの油圧警告アラームが鳴ったためクルマを停めることになったが、コックスはデビューウインに続いて新型へ2勝目をプレゼントすることに。
一方のタイトル戦線は、王者バカンがスーターを抑えて6位でチェッカーを受け、これで今季最終ヒートを前に両者の差は29ポイント差へと拡がった。ここでポール発進を切ったアウディは一時リードを保ったものの、背後のリンク&コーが決定的な動きを見せ、難所“グリフィンズ・ベンド”へ向かう途中でサイド・バイ・サイドに持ち込まれ、アウディを壁に張り付かせる事態は避けられたものの、これで結果的に順位を落としてしまう。
この時点からリードして勝利を確保したオキーフに対し、トム・オリファント(ヒョンデi30 N TCR/HMOカスタマー・レーシング)に次ぐ3位表彰台スポットまでファステストを記録しながらカムバックしたスーターだったが、タイトル獲得には届かず。トラブルに巻き込まれることなくヒョンデ・エラントラN TCRを6位でフィニッシュに導いたバカンが18ポイント差で王座を獲得し、TCRオーストラリアで初の複数回チャンピオン獲得者としてシリーズ連覇を成し遂げた。
またこれは、所属先のヒョンデ系トップカスタマーのHMOカスタマー・レーシングにとっても、創設初年度から5シーズンで3度目のタイトル獲得を意味している。