更新日: 2024.11.18 17:25
波乱満載の週末に先行ビョークを捉えたミケリスが連覇。自身3度目の世界王者に/TCR WT最終戦マカオ
一方のタイトル争いでは、チームメイトのアズコナとジロラミを早々に追い抜いて4番手としたミケリスに対し、序盤は10番手のまま推移したビョークは、終盤のSC再発動から残り1周のスプリントでもBRCヒョンデ艦隊の3台を攻略する手段がなく8位止まりに。これで最終的に5位チェッカーを受けたミケリスが2年連続のワールドツーリングカータイトル、通算3度目の世界チャンピオンを決めてみせた。
「正直に言うと、とてもストレスを感じていた。昨日は眠れず、頭の中はいろいろなことが渦巻いていたんだ」と明かしたハンガリー出身の王者ミケリス。
「今日は難しい日になるだろうと分かっていた。天候、変わりやすいコンディション、レース延期で、人生でもっともツラい朝と午後の早い時間帯になったね。でも、チームとチームメイトに心から感謝したい。始めた頃から、このフォーマットでは有能なチームがあれば、チャンピオンシップを争える可能性が非常に高いことを理解していたんだ」と続けたミケリス。
「だから、BRC、ヒョンデ、ネストール、ミケルには本当に感謝している。正直、彼らがいなければ僕は今日、ここに座っていることはなかっただろうから。今日はとても幸せな日で、僕にとって特別な日になったよ」
ここマカオで2010年に世界戦レベルの初勝利を飾っているミケリスは、そのWTCC時代を経て40代を迎えた今が、競技者として最善の状態にあると言葉を続けた。
「14年前、ここで初めてWTCCのレースに勝ったときのことを鮮明に覚えている。素晴らしい気分だった。でも、まったく違うドライバーで、まったく違う人間でもあったんだ。14年間の人生経験、さらに子供を持つことで、成長するために大切なことに気づくんだ。この14年間、僕らは成功ばかりを夢見るが、僕にとって人生は成功そのものではない。成功を経験するのはとても楽しいけれど、おそらく2週間後には、誰もが来季のことを考え始める。つねにストレスのサイクルなんだ」と胸中を語った世界戦“3冠”王者のミケリス。
「僕が気づいたのは、悪い経験は(ただの)悪い経験だと過去に何度も思っていたということさ。2017年に(ビョークとの勝負でWTCC)チャンピオンシップを逃したり(ハンガリーでの)地元レースで運が悪かったりして、この世の終わりだと思ったこともあった」
「今年、僕も40歳になった。この年齢では物事をあるがままに受け止める傾向がある。この立場にいられること、僕の周囲にこのチームがあること、そして情熱を注げることにとても感謝している。悪いことも旅の一部であり、成功(それ自体)だけが旅に不可欠なモノではないことに、今は気づいているよ」