現在、イギリス国内でも量産車工場の閉鎖が相次ぐ原因の一端は、英国内で製造業者が販売する新車の一定割合は「ゼロエミッションでなければならない」とするゼロエミッション車規制にあるとされている。この規制では、目標を達成できない製造業者には多額の罰金が科される可能性がある。
そのため自動車ブランドの各社は、主に電気自動車への切り替えを通じてこの目標を達成しようとしており、ジャガーはすでにガソリン車とディーゼル車の生産を中止し、2025年から完全な電気自動車ラインアップに移行する段階にある。
ガソリン車の販売禁止期限が延期されているにもかかわらず、他のメーカーも今後数年でこれに追随する計画のようだが、イギリスに限らず電気自動車の急増に対応できるインフラがあるかどうかについて、欧州や世界でも多くの消費者が懸念を抱いている。
ただし、これら問題に対する「他の」代替手段は、今後モータースポーツで活路が見い出される可能性があり、とくにトヨタは早くからスーパー耐久で水素自動車を走らせており、WEC世界耐久選手権とル・マン24時間レースの双方が将来的に水素クラスの導入を検討する契機を作ったと見られている。
またワンメイクオフロード選手権として2025年のラウンチを控えるエクストリームHも、皮肉なことに電動BEVによるエクストリームEの直接的後継となり、こうした傾向も踏まえると、代替としての電動化ではなく水素技術が今後のBTCCで役割を果たす可能性がある。
「政治的な道を進むと、我々は皆EVに乗ることになるが、それは答えではないことが証明されている」と続けたゴウ。
「EVは、ことモータースポーツでは非常に限られた価値しかなく、長持ちせず非常に重いため、ほとんど採用されていない。そしてEVモーターに取り付けられた水素燃料電池または内燃機関に取り付けられ活用される水素こそが、おそらく次の大きな変革になると思う」
「我々は喜んで、チャンピオンシップ内で水素開発への扉を開きたい。そして、おそらく今後2~3年以内にBTCCで水素要素が取り入れられると考えている。技術開発で参戦するのは数台だけかもしれないし、フィールド全体が入れ替わるとはまだ想像できないが、ル・マンのような他クラスでは水素が徐々に取り入れられ始めているのは明らかだ」
「15年前に『ハイブリッドを走らせる』だとか『100%持続可能な燃料を走らせる』とか『水素について話すことになるかもしれない』と言われたら、私は『お茶を飲んでゆっくり横になってください』と言われただろう(笑)」
「どのような道を進むにせよ、BTCCで得られる単発で、シャープで、エキサイティングなレースを損なう要素を導入することはないと断言する。近い将来……つまり今後5年ほどの間は、100%持続可能な燃料を使用した、より燃費の良い内燃機関こそが前進への道であることは間違いないね」


