3月23日(日)、アメリカ・カリフォルニア州パームスプリングス郊外にある会員制サーキットのザ・サーマルクラブを舞台に、NTTインディカー・シリーズの第2戦『ザ・サーマルクラブ・インディカー・グランプリ』が行われ、チップ・ガナッシ・レーシングのアレックス・パロウが優勝を飾った。
今回の舞台となったのは、これまでテストなどで使用されてきたクローズドサーキットのザ・サーマルクラブ。砂漠の真ん中に位置するこのサーキットでは、2024年シーズンには賞金をかけて争うノーポイントレースが行われたが、今年は選手権ポイントの付与されるラウンドに昇格し、初めてロングディスタンスでのレースが実施されることとなった。
22日(土)に行われた予選では、アロウ・マクラーレンのパト・オワードがポールポジションを獲得。2番手にはチームメイトのクリスチャン・ルンガーが続き、フロントロウをパパイヤオレンジのマシンが独占した。
そして23日(日)の決勝レース(65周)は、気温31度/路面温度47度という暑いコンディションのなかスタートが切られた。
隊列はオワードを先頭に落ち着いた動きで1コーナーへなだれ込むと、マクラーレンの2台がポジションキープしたままにリードを築いていく。
普段レースの行われていないサーキットであり、なおかつ50度に近い路面温度のためにタイヤ戦略に注目が集まるなか、まずは10周目にはルンガーが先に動いてソフト寄りのオルタネートタイヤを連投する。
15周目ごろにはオワードやパロウもピットインし、こちらはソフトからハード寄りのプライマリータイヤへ。しかしここで大きなペース差は生じず、順位はキープしたままアクシデントなくレースは進行していく。
30周近くになると、レースは2度目のピットタイミングへ。ここで上位陣は4番手のコルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル)を除いてハード選択となり、戦況はまたもや膠着する。唯一ソフトを履くハータも、トップ3を追い詰めるほどのペースは発揮できない様子だ。
しかし、ここまで落ち着いた展開を見せていたレースは、パロウのペースアップによって空気が一変。本領を発揮した10号車は2番手ルンガーを一気に追い詰め、46周目に前のルンガーはたまらずピットへと向かった。
ルンガーに反応してパロウとオワードも順にピットへ向かい、パロウのみがソフトを選択。コースインするとすぐにルンガーとサイド・バイ・サイドのバトルに発展し、約半周にわたるフェアなバトルを制して2番手に浮上した。
パロウはそのままペースを緩めることなく、7.7秒先の首位オワードとのギャップを見る見るうちに縮めていく。残り11周となるころに追いつくと、なんとか抑えるオワードのディフェンスをこじ開けてトップ浮上のオーバーテイクを決めた。
そのままマクラーレンの2台を寄せ付けないペースで走るパロウは、独走状態を展開して最終的に10.1854秒のギャップを築き、見事開幕2連勝を飾った。パロウが真ん中に立つ表彰台には、2位オワード、3位ルンガーとマクラーレンのふたりが両脇に上がった。
そして、シボレーエンジン勢の筆頭チームであるチーム・ペンスキーは、予選から不調で3台がQ1落ちを喫することに。決勝では、21番手スタートからの挽回を見せたウィル・パワーの6位入賞が最上位となった。
2025年インディカーの次戦は、カリフォルニア州で行われる第3戦ロングビーチ。決勝レースは4月13日(日)に行われる予定だ。