ゴール目前、ジェームズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン)とスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)の2台が同時にエンジンのトラブルでコース上にストップ。オイルや水が出たためにイエローフラッグから赤旗となり、20分間の中断があった。
この直前にレイホールとニューガーデンの差は6秒まで縮まっていたが、それは優勝をほぼ確定させていたレイホールがペースを落としていたからだ。それが、このレッドフラッグで差がほぼゼロになってしまった。

しかし、レイホールの強さは揺るがなかった。リスタートでニューガーデンを突き放し、アタックするチャンスを一度も与えることなく、2周で1.1772秒の差をつけてゴールした。デトロイトのダブルヘッダー完全制覇だ。ダブルヘッダーの2レースを勝利するのは2013年のトロントでのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)以来だ。
3位はパワー。レース1ではレイホールに周回遅れにされたが、今日は表彰台に上った。シボレーはイベントスポンサーで、レースのプロモーターはロジャー・ペンスキー。2レースとも優勝を逃したが、ニューガーデンとパワー、ふたりのチーム・ペンスキー・ドライバーがレース2では表彰台に上り、意地を見せた。
琢磨は4位。レース1は予選4位から8位、レース2はPPだったが表彰台を逃す4位。アンドレッティ・オートスポートは予選ではコンテンダーだったが、レースで苦戦していた。同じホンダエンジン、ホンダエアロで戦うレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに追いつき、追い越すことが今シーズン中にできるだろうか。
それでも琢磨はデトロイトの2レース両方でトップ10位りし、ランキング3位をキープ。しかも、ポイントリーダーのディクソンがレース2は6位と琢磨より後方だったため、ポイント差は11点しかない。シリーズ2位のエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)との差は僅かに4点だ。

「とても良い週末になった。ファンもたくさん見に来てくれていた。天気が2日間とも良かったことにも感謝した。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング全体の勝利だ。彼らのことを本当に誇りに感じているよ」
「デトロイトのダブルヘッダー2レース両方で勝ったのは今日の我々が初めて。特別な1日になった。最後の2ラップを前にして赤旗が出されたが、抜かれることは心配していなかった」とレイホールは喜んでいた。
レイホールは今年2勝目を挙げる最初のドライバーとなった。マニュファクチャラー別勝利は、ホンダが3連勝で今シーズンのトータルを5勝に伸ばした。シボレーは3勝。昨シーズンは2勝だったホンダだが、デトロイトでは1-2-3フィニッシュもレース1で達成した。ポールポジションはシボレーが開幕5戦で連取したが、インディ500からはホンダが3戦連続での獲得となっている。
表彰台を逃す結果となった琢磨は、「ポールからのスタートだったのだから、表彰台には上がりたかったですね。今日もレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングが速かった」
「グラハムに1回目のピットで抜かれ、パワーに2回目のピットでギリギリ抜かれた。あれは悔しかった。自分たちは前のマシンに1.5秒ぐらいまで近づくとハンドリングが悪くなっていた。それを何とかしないとならないし、レースでのペースももっと速くする必要がある」とデトロイトでの戦況を分析していた。