Report by Masahiko Amano / Amano e Associati

 ペンスキー入りした頃はターゲット・チップ・ガナッシで走るダリオ・フランキッティに何度となく打ち負かされ、「ダリオはとてつもなく運がいい。彼より速いドライバーがふたりいた最終戦で、イエローの出ない展開に救われて勝ってチャンピオンになったこともあった」といった具合に愚痴を語っていた。

 当時の彼は「オーバル嫌い」を公言してもいた。誰もが認める速さの持ち主だったが、2010年から2年続けてフランキッティに敗れてランキング2位となり、2012年にフランキッティを上回ったら、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)にチャンピオンの座をさらわれた。

 パワーは未だにインディ500で勝ったことがないが、彼が3年連続でシリーズ2位となって悶々としていた当時、フランキッティはインディ500での3勝目を記録。実績面が実力以上の大差となっている点にパワーがイラついていたとしても仕方がなかった。

2014年に念願のシリーズチャンピオンを獲得

 ポコノでパワーのキャリア優勝回数は「32」に伸びた。チーム・ペンスキーで活躍したポール・トレイシー、そして宿敵フランキッティと31勝で並んでいた彼は単独の歴代9位へと抜け出した。

 去年4勝し、今年もすでに3勝しているパワーは36歳。まだしばらく現役生活は続き、優勝回数を増やすことができそうだ。そんな彼はポコノで、「ダリオやポールといえばインディカーにおける伝説のドライバーたち。彼らの仲間入りができて光栄だ」と、ちょっと照れたような表情を見せつつコメントした。

「オーバルのレースは大好き。近頃はレースの数も少ないし、勝てた時は本当にうれしい」とも語った。人は変われば変わるものだ。

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