更新日: 2017.09.22 17:42
スーパートロフェオで連戦連勝。クラッツィオ・レーシングの速さと商品へのこだわり
ヨーロッパやアメリカ、中東、そしてアジアと、各地域で熾烈な戦いが展開されているワンメイクシリーズ、ランボルギーニ・スーパートロフェオ。専用車両のウラカンLP620-2を使って争われるシリーズだが、今季アジアシリーズで、無類の強さを発揮しているマシンがある。
日本のトップカテゴリーで活躍してきたドライバーたちも数多く参戦するこのランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアで、2017年シリーズの開幕戦セパンのレース1こそ3位だったものの、その後はすべてのレースで勝利を飾り、プロクラスのランキング首位を独走するのが、マレーシア出身のアフィーク・ヤジッドと日本のケイ・コッツォリーノがドライブするクラッツィオ・レーシングの11号車だ。
スーパートロフェオ・アジアに参戦する他の多くのチームもホワイトとオレンジに彩られたマシンをマークしているが、なかなかその独走を止めることができないでいるのが現状だが、このクラッツィオ・レーシングの強さはいったいどこにあるのか。第4ラウンドの富士でも圧倒的な強さで連勝を飾ったコッツォリーノに聞くと「オーナーの熱意がすごいです。僕たちはプレッシャーもありますが、いい刺激になっている」と語ってくれた。
コッツォリーノが語る「オーナーの熱意」とは──。チームオーナーを務める、株式会社イレブンインターナショナルの板倉剛代表取締役社長に話を聞いた。
■ランボルギーニ好きから始まったレース参戦
イレブンインターナショナルは、『Clazzio(クラッツィオ)』のブランドで非常に大きなシェアをもつシートカバーを手がけている。『もっと素敵にもっと楽しく、快適なシートでドライブを楽しみたい』というドライバーの要望に応えて作り出されたシートカバーは、カー用品店等で見かけたことがある方も多いはずだ。
板倉社長はクラッツィオブランドを大きく育てる一方で、「中学生の頃スーパーカーブームで、近くのジャスコにカウンタックが展示されていたんです。それを見て『いつかこれに乗るんだ』と決めた」と、夢であったランボルギーニを所有してみせる。「まわりの友だちは『無理だ』と言っていましたがね。仕事を頑張った結果です」と板倉社長。
そんな板倉社長のもとに、ランボルギーニ・ジャパンから「レースをやりませんか」という話が来たのが、スーパートロフェオ参戦のきっかけ。レースといえば趣味の延長というケースもよく見られるが、板倉社長の場合、理由がしっかりしているのがビジネスマンらしい。
「日本国内の自動車市場は縮小しつつあって、どうするかと言えば海外に向けてマーケットを切り拓くしかない。このスーパートロフェオ・アジアは、アジア各国でレースがあって、最後はワールドファイナルとしてイタリアのイモラでレースがあるんですよね。アジアはマレーシア、タイ、中国、そして日本があるので、そこに目をつけました」
「マレーシアはクルマのチューニングが盛んですし、タイも日本やヨーロッパの自動車工場もあります。日本は私たちの国ですし、中国もこれからクルマの用品販売が盛んになっていく国です。そこで、クラッツィオというブランドをまず知ってもらうためにレースをやろうと。そして次に買ってもらって、その評価をしてもらおうということですね」
日本で非常に高い評価を受けるクラッツィオというブランドの訴求のためにレースを使おう──。ここまでは当然理に適っているのだが、ここから先が板倉社長の“らしさ”だ。
「レースはいちばんブランドの訴求にはいいだろうと思っているんです。でも、勝たないといけない。映像にも映らないですし、ドライバーも速い選手を組ませたいと思いましたし、チーム体制も勝てる条件を揃えろと。みんなで話し合いをして、『絶対にいちばんになる』と決めた。そこでレースをやることにしました」