固い絆で結ばれた琢磨とクルー。無念の最終戦に「みんな残念だよ。ここまで頑張ってくれてありがとう」
決勝のスタート前にはグリッドでちょっとしたサプライズがあった。琢磨は円陣の中で「みんな今年一年間本当にありがとう。今日のレースはどうなっても、最後までベストを尽くすよ」と挨拶すると、今度はチームクルーから寄せ書きしたウイングが琢磨に贈られた。さすがの琢磨もこれにはびっくり。
とかく政治的な移籍話が飛び交うものの、琢磨とチームクルーの固い絆は最終戦まで変わることはなかった。
レースがスタートし、隣のチャンピオンのかかったディクソンの邪魔をすることなくターン4に向けてターンした琢磨に、チームメイトが牙を剥いた。
アレクサンダー・ロッシがその後ターン6で琢磨に幅寄せし、コースアウトさせたのだ。
ロッシは「琢磨がターン4で幅寄せしたお返し」とシラを切ったようだが、琢磨にとってはこれでレースを失ったも同然の結果となった。その後右リヤタイヤがパンクし、引きずった走行をしたおかげで前後のエアロキットもダメージを受けた。
ピットに入って修復しコースに戻ったものの、その時点で2ラップ遅れとなり勝負権を失った。
琢磨は淡々と走り続けたが、エアロバランスが狂ったおかげでタイヤへの影響も大きく、デグラデーションが通常の倍の速さで進むなど苦戦を強いられた。
それでもチームクルーのためにも走行を続けたが、今度はエンジンが根を上げてしまった。62周目にマシンをコースサイドに止めた琢磨は無線で「みんな残念だよ。ここまで頑張ってくれてありがとう。感謝してる」と言い残すとマシンを降りた。結果は20位となり最終的なランキングは8位のままだった。
「なんでアレックスがあそこであんな寄せ方をしたかわからない。最後だから、気持ち良くレースを終えたかったのに本当に残念。あのドライビングは軽蔑に値しますね」
「でも1年間一緒に頑張ってくれたクルーとチームのみんなには、感謝したいです。来年の事については近々言えると思いますけど、2018年も良いレースができると思います」と、少し含みがあったがアンドレッティ・オートスポーツとのレースはこれが最後。
だが来年も琢磨はインディカーのグリッドにいる。2017年のインディ500チャンピオンとして。