決勝日は、予報通りの寒い1日となった。プラクティス・ファイナルの気温は摂氏9度。午後になってもそれは変わらず、コンスタントに吹きつける風によって体感温度は更に低くなっていた。木曜、金曜の両日とも20度前後まで上がっていたことを考えれば、決勝日のコンディションだけが大きく異なり、当然マシンのセッティングも大幅な調整が求められることとなった。プラクティス・ファイナルは30分間。ここではホンダ勢が1分9秒台半ばのラップタイムでトップ3を占めたが、琢磨は1分10秒3がベストで、順位は16番手。セッティングの決まり切らないフォイト陣営にとって、大幅なコンディション変動は助けにならず、状況を更に複雑かつ難解なものにしていた。

 ハードコンパウンドのブラックタイヤでレースに臨んだ琢磨は、プラクティス・ファイナルから更にセッティング変更を加えたマシンを走らせたが、スピードやハンドリングの劇的向上は見られず、レッドタイヤ装着勢にオーバーテイクを許す苦しい戦いとなっていた。一縷の望みとしては、1回目のピットストップ以降はゴールまでレッドタイヤを連続投入する作戦にあった。グリップの高まって行く路面でこれまで以上のペースを実現することが期待された。

 しかし、レッドタイヤでも琢磨のラップタイムは向上しなかった。その前に、1回目のピットアウト時に本コースとの合流地点でブレンド・ラインを外れ、ドライブスルーのペナルティも課せられてしまった。
「今日の自分たちにはスピードがなかった。グリップが得られていないから、それをエアロに頼らねばならず、ストレートスピードがライバルたちに比べて遅くなっていた。レッドタイヤでは内圧も違うものを試し、最後のスティントが一番良い走りになっていた」と琢磨はレース後に語った。

 琢磨より後ろの24番グリッドからスタートしたレイホールは、4位フィニッシュを達成した。彼らはコースを選ばず、コンディション変化にも的確に対応し切って高いパフォーマンスを発揮し続けている。

佐藤琢磨(AJフォイト・レーシング)
佐藤琢磨(AJフォイト・レーシング)

 セント・ピータースバーグでは6位、ロングビーチではホンダ勢ベストの5位フィニッシュを達成したAJフォイト・レーシングと琢磨は、ストリートこそ高い戦闘力を誇っているが、常設ロードコースでのパフォーマンスは前年までと変わらず、低い。解決の糸口を見出すべく、彼らはレース中にも新たなトライを行ったが、今回も大きな進歩を手にするところまでは行かなかった。

次の常設ロードコース・イベントは、6月下旬のロード・アメリカ。それまでにエンジニアリング・チームは何か解決策を見出さなくてはならない。

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