一方のターキントンは、残り1周となったファイナルラップ突入時点で2番手まで浮上すると、その勢いのままポールスタートからトップを死守してきたモファットに襲いかかり、メルセデスのリヤをプッシングしながらオーバーテイクし、ついに首位浮上。
この間隙を突いてチーム・ダイナミクスの2台、ゴードン・シェドンとマット・ニールのワークス・ホンダ勢もメルセデスの前に出ることに成功し、そのままチェッカーとなった。

レース後にモファット陣営からプッシングに対する抗議が提出され、主催者側はこれを受理したものの、罰金のみでリザルトへの影響や次戦のグリッドポジションダウンはなし。ターキントンが12台抜きの離れ業で勝利を手にし、サットンとのポイント差を6にまで詰めて、ファイナルランドを迎えることとなった。
迎えた2017年シーズン・フィナーレとなるレース3は、スタート前から波乱を予感させるお膳立て。スタート進行が始まろうかというタイミングでトラックにはふたたびの雨脚が落ち、グリッド上では各車ともにダンロップの『ブルーレスポンス』ウエットに交換してスタートが切られるなか、タイトル争いの幕切れはあっけなく訪れた。
リバースグリッドの10番手からスタートしたターキントンと、12番グリッドからスタートし、すぐさまライバルの背後につけたサットンのレヴォーグが、並んで2周目に突入したところ、前方を走るイングラムのアベンシスがグラハム・ヒル・ベンドでマット・ジャクソンのフォード・フォーカスSTをプッシングしコース外に押しやると、復帰を試みたチーム・シュレッデド・ウィートのイエローのフォーカスは、不運なことにBMW1シリーズ、ターキントンと交錯。
右リヤタイヤとアップライトを失ったWSRのマシンは走行不能に陥り、ターキントンは為す術なくBMW125i Mスポーツをコース脇に寄せると同時に、タイトルの夢も止めることとなってしまった。
これで労せずしてタイトルを手中にしたサットンは3位でフィニッシュ。来季アルファロメオ・ジュリエッタへのスイッチを表明し、トヨタ・アベンシスでのラストレースとなる勝者ロブ・オースティンと、レース1で苦汁を舐めたジャック・ゴフに続くポディウムフィニッシュで、自身初となるBTCC王座確定に華を添えた。

「なんて週末なんだ。アップダウンがありすぎて本当に大変だった。レース3のアクシデントは目の前で発生したけれど、それが誰と誰なのかは考えないように、自分がどのラインを取るべきかだけに集中して走った。半周ほど走ったところでチームからの無線を聞いて、本当に肩の荷が下りた。最初は信じられない気分だったよ」と喜びを語ったサットン。

23歳の若さで2017年BTCC王者となったサットンは、今季6勝14ポディウムを記録。チームBMR移籍初年度で、スバル・レヴォーグをチャンピオンマシンに押し上げる偉業を達成してみせた。

