更新日: 2017.10.23 17:16
WTCC:もてぎ戦に挑む道上龍、中国でタルキーニに触発。「あのおじさん、ただ者ではない」
そして中国ラウンドにおける、もっとも大きな収穫といえるのが、同じホンダ勢のティアゴ・モンテイロの代役として出場したガブリエル・タルキーニの存在だ。
2013~15年に渡り、ホンダ勢の一角を担ってきたタルキーニは、ツーリングカーレースの大ベテラン。今シーズンはWTCCに参戦していなかったが、9月に行われたテストでモンテイロがクラッシュして療養を余儀なくされたため、代役に起用された。
そのタルキーニは大雨で難コンディションとなった中国ラウンドで、初めて乗る2017年仕様のシビックWTCCを瞬く間に乗りこなし、FP1、FP2でホンダ勢トップタイムを記録している。
「中国でガブリエルさんが、ぽんと来てFP1で(ホンダ陣営)トップタイムを取ったんです。あの55歳のおじさん、ただ者ではないですよ(笑)。技というか、引き出しを多く持っていますよね。あのノルビ(ノルベルト・ミケリス)ですら、ガブリエルのタイムを見て焦ったと言ってましたから」
「FF車は、(コーナリングで)アンダーステアが出ていてもアクセルを踏めば行けてしまう部分があるんです。一方、リヤ駆動のクルマは(コーナリング中に)突然リヤがスライドした場合、アクセルを緩めたりして調整します」
「だから、FF車は自分がタイムロスしているかどうかが掴みづらいんですよ。特に中国ラウンドではハイドロプレーニングも頻発してトラクションも抜けがちでした」
「そういったところで、ガブリエルさんは『こんなところでギヤ上げちゃうの?』という感じで、うまく駆動力を路面に伝えるようにして、ホイールスピンを消しているんですよ。僕より1速高いギヤで走っているところもあるんです」
「感心している場合じゃないんですけど、上手いんですよ(笑)。これ(ツーリングカーレース)ばっかりやってきてるから、テクニックが勝っているなと思いますね。テクニックを持っている人がいっぱいいるんだなと思います」
「チームの雰囲気も変わりました。彼の発言を全員が聞いていましたし、カリスマ性がありますね。チーム全体の気も引き締まりました」
「ティアゴ(モンテイロ)やノルビ、ガブリエルさんも含め、世界のトップレベルを見ることができました。なかなか頭で考えてもすぐにできるものではないですけど、WTCCマシンの走らせ方などは、データや車載動画を見て、さらにイメージを掴めましたね」