もともとフォーミュラEのマシンはバッテリーが重くてリヤヘビーで、リヤのコントロールが難しい。そして、その巨大なバッテリーから発生する熱を冷却しきれなくなると、走行中にリヤブレーキの回生システムがシャットアウトするような状態になってしまうという。エネルギー回生ブレーキの抵抗がなくなれば、ドライバーはブレーキに異常が起きたと感じてしまう。

「なので、そうなったときにブレーキバランスをドライバーが変えるのですが、経験があるドライバーなら対応ができるかもしれないけど、エンジニアの指示がないと自分ではできない。『あれ!? ブレーキがなくなったかな』と思うくらい、恐ろしいくらい突然、ブレーキが効かなくなります」と可夢偉。

「それでコーナーを行きすぎて、壁にぶつからないよう、とりあえず止めるのにスピンをするんじゃないですかね」と、他のドライバーのスピンの傾向を解説。その説明からも、フォーミュラEのマシンの難しさ、経験の差の大きさが伺い知れる。

 結局、2日目の可夢偉の決勝順位は18位(優勝したダニエル・アプト/アウディスポーツ・アプト・シェフラーが失格で順位繰り上げの可能性あり)。可夢偉は、この2日間の初めてのフォーミュラEを、どのように振り返るのか。

「2日間、なかなかのチャレンジで結果は悔しいです。やっぱり全然乗り慣れないクルマ、全然練習できないでレースになると、こういう結果になるんだなと実感できた部分と、他のドライバーがこの開幕戦に向けて10日間とかテストして来ているのに、なかなか合わせるのが難しいというレースなので、そこで2日間、クルマを壊さずに終われてよかったなと。まずは経験を積むことが大事なので、途中でクラッシュして経験が積めなくなるというのは避けたかったので、そういう意味では走り切れてよかった」

 可夢偉は、今回のフォーミュラE参戦に向けて、自身のドライビングスタイルの拡張を目標のひとつに挙げていたが、その手応えはどうか。

「ドライビングのスキルとしては、リフト&コーストをしながらのクルマのバランスはやはり違うので、それに合わせたクルマの作り方ができることが分かりました。燃費走行の部分でも、この経験は他のレースでも活かせるかなと思います」

 可夢偉の参戦もあり、日本でも近い存在になりつつあるフォーミュラE。可夢偉の次のフォーミュラEでの参戦、そしてフォーミュラEの日本開催など、期待したい部分が多々あるが、なかなか一筋縄ではいかないこともまた、今回の可夢偉の参戦によって明かになった。

スポンサーやゲストの対応、そしてファンイベントなど2日目も大忙しだった可夢偉。「今日はご飯を食べれました」
「次の機会があったら出たい」とフォーミュラEへの意気込みを語った可夢偉。

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