「シミュレーターで準備をしてきたので、ファーストインプレッションは良いです」と初めてのマシンの感想を語った高星は「(実車よりも)シミュレータの方が難しかったです」と続けた。
ファーストシーズンから3季続けてチームタイトルを獲得しているトップチームでテストに参加したことに対しては、「(セバスチャン・)ブエミ、(ニコラス・)プロストがいるチームなので、今回のテストで何が良くてどこが悪いのかをすぐにフィードバックできています」とチャンピオンチームの利を活かしている様子だった。
午後のセッションは14時に開始。天候が回復してきたこともあり、各ドライバーとも午前よりもペースを上げ周回を重ねていくが、それに伴い次第に赤旗中断の回数が多くなっていく。
最初にそのきっかけとなったのが高星だった。詳細は不明ながら積載車でマシンがピットに戻ってきたことから、何らかのアクシデントによって走行不能になったものと思われる。
セッション再開後、高星はもう1台のマシンに乗り込み、ふたたびコースへ。午後は周回数を伸ばす走りに集中し47周を走行。ベストタイムは予選で使用できる200KWモードを使用しなかったことから1分24秒179と午前よりも遅いものとなり、20番手に留まった。
それでもルーキーテスト全体では、全20名中2番目に多い計80周を走破。また、午前中にマークした1分23秒052で総合18番手に入っている。
「午後のセッションは、アタックできませんでした」と高星。しかし、テスト全体としては「今日1日、良い経験ができました」と語る顔からは午後のセッションで満足するスピードで走ることができなかった悔しさと、少し疲れたような入り混じった表情に見てとれた。
今回、セッションの合間に設定された取材時間でニッサンの関係者に話を聞くことができたが、シーズン5からのワークス参戦については「準備することが本当に多いが、とても楽しみにしている」という。
そして、気になる日本人ドライバーの起用については「シーズン5に向けてのドライバーに関しては、いろいろなことが起こりえる」とし、今回テストに参加した高星に限らず「ベストなドライバーを選択します」との回答を得た。
今季から本格的にワークス体制を敷いたアウディ陣営に続いてBMW、メルセデス、ポルシェといったドイツ勢が相次いでシリーズへの参入を表明しているフォーミュラE。1年後にワークス体制で挑むニッサンの動きは日本のファンだけでなく、電気自動車開発に舵を切りはじめているモビリティ社会全体から注目を集めることになるはずだ。


