158周目にレース再開。計算では残り1回のピットでゴールとなり、ここからの2スティントが勝負。琢磨は得意のリスタートでポジションアップすることが期待されたが、逆に4つもポジションダウン。そのすぐ後にターン4立ち上がりで姿勢を乱し、右フロントホイールからウォールにヒット。サスペンションへのダメージが大きく、ピットに戻ってリタイアとなった。
■感じたトップチームとの準備力の差
「難しいレースになっていました。スタートしてみると、自分たちのマシンはトラフィックでグリップがなく、ピットインの度に多くのセッティング変更を施した。ダウンフォースを増やしてバランスを取っていった。グリップが下がる不安はありながら、正反対のダウンフォースを減らすセッティングをリクエストしました。それを試すとスピードが戻ってきた。130周という長い時間をかけて、マシンをコンディションに合わせ込むことができたのは良かった」
「しかし、悪いタイミングでイエローが出て、順位を落として、その後に追い上げようとしていたところ、ターン4で前のマシンに近づき過ぎたのかダウンフォースがなくなり、アウトに膨らんでしまって、グリップがなくなり壁にヒット。残念ですね。悔しい結果です。今年は第100回目のインディ500。このレースに出場できたことには心から感謝しています」と琢磨はガッカリしていた。
琢磨自身が語っているように、難しいコンディションにマシンセッティングを合わせることはできた。しかし、そこまでに少々時間がかかり過ぎていた。そして、そのセッティングも決して完璧なレベルにまでは達していなかったため、アクシデントに繋がってしまった。プラクティスでの走行量の少なさが、結局最後まで響いた印象だった。
チームメイトと協力してトラフィックを作り出してのデータ収集は、優勝したアンドレッティ・オートスポートが5台を走らせる最大体制を活かし、走行初日から連日繰り返し行っていたものだ。エンジニアリングのレベルは着々と高めているAJフォイト・レーシングは、クルーの仕事もピットストップに関してはクォリティがかなり上がっている。今後はマシンの準備、作戦を含めたチームのマネジメントをステップアップさせる努力が必要だ。