一方、元F1ドライバーで現在はDTMでBMWの契約ドライバーを務めるドイツ人のグロックは、DTMが今後もさらに発展し、ファンに喜ばれるシリーズでありたいなら、オーストラリアのツーリングカー選手権であるVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーが採用する高出力・ローダウンフォースの車両規定を参考にする必要がある、と考えている。
この2月にBMW M6 GT3をドライブしてのバサースト12時間参戦を控えるグロックは、「正直に言って、メルセデスの撤退表明はショックだった」と、DTMの将来に関する展望を語った。
「一方で、そのショックと衝撃は、DTMが別の扉を開くためのチャンスになるとも言える。僕はDTMに参戦を始めて以降、ことあるごとにオーストラリアのやり方を参考にするべきだと発言してきた。それこそが、今必要とされている視点だと思うんだ」とグロック。
「彼らの方法は正しい。DTMのマシンと比べて、空気力学によるダウンフォースはゼロに等しい。だから彼らはライバルのマシンに接近して走れるし、オーバーテイクも、サイド・バイ・サイドでのバトルもたやすく演じることができる。それは今のDTMでは不可能なことなんだ」
「共通パイプフレームを採用しているとはいえ、VASCスーパーカーのマシンはロードカーと近しい存在に留まっている。それはコクピットの作りを見ても明らかだ。そしてダウンフォースこそが最大の違いを生んでいる。DTMも同じようにダウンフォースを取り除き、オーストラリアの彼らがやっている方法に学ぶべきなんだ」
グロック自身も、日本のスーパーGTとともにクラス1規定に準拠した統合を目指す動きを理解してはいるものの、ファンからの視点をベースに物事を考える重要性を唱える。
「VASCは、純粋なファイト、ピュアなレースが視覚的に理解しやすい。そして、それこそがファンが望んでいる最大のポイントなんだ」と続けるグロック。
「ファンを楽しませることこそ、僕らが望んでいることだ。だからこそ、クラス1規定もVASCのような方向性を取り入れるべきだと思う。そうすれば自動的にショーとしてのレースの質は上がり、それに伴ってファンも参加してくれるようになるはずだ」


