待望のイエローが提示されたのはレースが最終盤に入ってからのこと。そして、信じられないような低燃費で走り続けた琢磨は、ファイナルラップに入ったところでカナーンへのアタックを開始する。「残り1周で、まだプッシュ・トゥ・パスが5回分残っていたので、できる限りこれを使おうと思いました。僕はバツグンのリスタートを切り、ターン1に進入するときはカナーンのまさに直後につけていました。ターン2からの脱出も完璧に決まったところでプッシュ・トゥ・パスのボタンを押しましたが、僕は最悪のタイミングでオーバーブーストの問題を抱えることになります。これまでの84周、なにひとつ問題はなかったのに、ここで起きたのです。ある状況下で、エンジン回転を低く抑えたままスロットルペダルを踏み続けると、この種のトラブルが発生するのです。オーバーブーストはエンジンのパワーを制限します。僕の視界からはTKが徐々に遠ざかっていきましたが、幸いにも後から追ってくるドライバーはいませんでした」

「それでも、20番グリッドから5位でフィニッシュするなんて誰にも想像できなかったはずです。ピットストップを含め、チームの働き振りは本当に素晴らしいものでした! ラリーと僕のエンジニアは素晴らしい判断を下すとともに、苦戦した予選の後で素晴らしいマシーンを作り上げてくれました。イエローが出たことはラッキーでしたが、これまで何度も不運を経験してきたので、今回くらいはいいでしょう」

 次戦は2週間後に開催されるミドオハイオ戦で、今週の後半にはこのコースでテストを行なう予定になっている。ロードアメリカで強い手応えを掴んだ琢磨は、このレースを楽しみにしているようだ。「このコースでも僕たちのセッティングは最高のパフォーマンスを発揮してくれるはずなので、僕たちの奮闘を見届けて欲しいと思います。テストでどんな成果が得られるのか、いまから楽しみで仕方ありません」

written by Marcus Simmons

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