更新日: 2016.08.13 02:38
残り4戦。琢磨のインディカー2勝目は次戦ポコノがキーポイントに
ミド・オハイオまでの12戦でシボレーは11勝。ホンダはまだ1回しか勝てていない。それがシリーズ最大のインディ500、それも第100回の記念すべきビッグレースであった点は大きな救いとなっているが……。
琢磨のランキングは、12戦終了時点で15番手。12戦すべてに出場しているドライバーは20人しかいない中での成績だから、芳しいとは言えない。ホンダドライバーではジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が7番手、カルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)が8番手、グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が9番手とトップ10に3人がつけている。
ダブルポイントのインディ500でキャリア初勝利をインディで挙げたルーキーのアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)も11位。チーム・ペンスキーで走るファン・パブロ・モントーヤよりひとつ上の好位置にいる。そして、2012年チャンピオンのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が13番手。琢磨はホンダ勢で見ても6番手だ。
■ポコノでの活躍に期待
イギリスF3からF1に進んだ琢磨は、いわばロードコースのスペシャリストだが、アメリカに来てからは、むしろストリートとオーバルコースで優れた能力を見せてきている。
ストリートでの琢磨は、リスクの高さを優れたマシンコントロール能力と自らに対する自信でカバー。2016年シーズンはセント・ピーターズバーグが6位、ロングビーチが5位、デトロイトが11位と10位、トロントが5位という結果を残している。
あと一段上位に食い込んでいけないのは予選順位が悪いからだ。今シーズンはまだトップ6で戦う予選ファイナルへの進出を果たせていない。そして、もう今シーズンの残されたレースにストリートレースは含まれない。
フォイトに来て以来、琢磨はロードコースでのマシンセッティングで目指すものを得られていなかったが、今年のロードアメリカで好走を見せた。コンピュータプログラムの設定ミスで二度ピットスピード違反を犯し、結果は17位に終わったものの、一条の光明が見えたようだった。
ところが、そのフィロソフィーのセッティングはミド・オハイオには通用せず。そして、シーズン終盤にスケジュールされている2戦、ワトキンス・グレンとソノマでも大活躍を期待するのは楽観的に過ぎるだろう。
ボストンのストリート戦がキャンセルされ、代替イベントとして開催されるのがワトキンス・グレン。琢磨はインディカーへのデビューイヤーに走っており、予選5位という好成績を残しているが、コースの舗装が新しくされ新エアロパッケージで戦うなどの要素を考慮すると、出場全チームが事前テストに遠征するというのに唯一テストに参加しないことと決めたフォイト陣営が活躍できる可能性は極めて低い。
ソノマでの琢磨は過去2シーズンで4位、8位という結果を残して来ているが、それ以前からの戦いぶりを考えると、相性の良いサーキットとは言い難い。そして、このコースでの事前テストにもAJフォイト・レーシングは遠征しない。
ザ・グレンもソノマも、琢磨の1台だけでもテストに参加させれば良いのでは?と思うのだが、AJフォイト・レーシングは予算規模もマンパワーもライバルたちとまったく同一の体制を整えるには至っていないのだ。
だからと言って勝利を諦める必要はない。すべてのレースで最高の走りを見せ、上位で戦う必要はない。勝てる可能性の高いレースに持てる力を集中させ、最大限の能力を発揮すればよいのだ。琢磨とAJフォイト・レーシングにとって、それが可能なのは、ペンシルベニア州ポコノでの500マイルレースだ。