予選で1-2-3だったチーム・ペンスキーだが、彼らのセッティング、走り方ではタイヤが持たなかった。特に右フロントのブリスターがひどかった。

 予選2番手だったパジェノーもブリスターに悩まされ続けたが、何とか上位にポジションを保ち続け、スタートと同じ2位でゴールした。最後はロッシから猛チャージを何度となく受けたが、真横に並ばれても前には出さないというバトルを何回か行いながらもポジションをキープし、今年初の表彰台に上った。

 ディクソンはチームのエンジニアリング能力を大きな味方として優勝した。彼らだけがブリスターの被害を最小限に抑えていたのは、プラクティスでタイヤのスクラビングを多めの周回数で行っていたからのようだ。

 高い熱を一度タイヤの中に発生させることで、剥離=ブリスターが起こりにくくなることを考えてのことだ。ディクソンのベテランらしいクレバーな走りも大きかった。タイヤの使い始めではスピードを少し落とし、タイヤを労わりつつ、どんな変化が起こるのかをチェックしていた。

 ピットを出てもすぐに全開にはせず、数ラップの間は少しペースダウンして走りタイヤの温度上昇を抑えた。それが119周の最多リードラップも記録してのシーズン2勝目に繋がった。

 ディクソンはキャリア通算43勝目を挙げた。先週の優勝でマイケル・アンドレッティとインディカー歴代3位タイの勝利数に並んだが、たった1週間でマイケルを抜いて歴代3位になった。もうディクソンより上にはマリオ・アンドレッティ(52勝)とAJ.フォイト(67勝)だけしかいない!

妻のエマと勝利を喜ぶスコット・ディクソン

 ディクソンは、「8~10周はタイヤにトラブルが発生しないかチェック。慎重に戦っていた。ライバルのタイムがどの程度スティントの中で落ちるのかも見たかった。幸い、僕らはほとんどタイヤにトラブルが出なかった。入念に、多くの周回をこなしてタイヤに熱を入れる作業をこなしたからだろう」と話した。

 他のチームが気づいていなかったタイヤマネジメントを彼らだけは行えていた。

 優勝数で歴代3位になったことに関しては、「歴史に名前を残しているドライバーたちを凄く尊敬している。AJ.フォイト、マリオ・アンドレッティ、マイケル・アンドレッティ、アンサーファミリーといった人々と同じリストにディクソンという名前が並んでいることにまだ馴染めていない」

「チームに恵まれ、幸運でもあった。こんなに素晴らしい環境で戦えていることにとても感謝している」と謙虚にコメント。

「私はレースを愛し、インディカー・シリーズを愛している。このシリーズは地球上でベストのチャンピオンシップだ。サーキットの種類が多く、世界でもっとも難しいシリーズになっていると思う。このままレースを続け、更に勝ち星を重ねたい。今のインディカー・シリーズは本当に競争が激しいので、それができたらとても嬉しい」と話した。

 予選はシボレーがトップ3を独占したが、レースでは2位のパジェーを除くトップ9のドライバーがホンダユーザーだった

 琢磨は予選9番手から7位でフィニッシュした。予選後のファイナルプラクティスで好感触を掴んでいたが、決勝では前を走るマシンをオーバーテイクできずに苦戦。パスを完成できなかった時に後続の先行を許すという苦しい戦いとなっていた。

 しかも、第2スティントで右リヤタイヤにブリスター発生。早めのピットストップをせざるを得ず、大きく後退した。

 それでもコンスタントなラップタイムで粘り続けた結果、終盤の2回のアクシデントでフルコースコーションが出され、それらを利用してリードラップに復帰。最後はチームメイトのレイホールを追ったが届かなかった。

「今日のタイヤのマネジメントが重要でしたね。残念なことに、僕らは序盤に右リヤタイヤに大きなトラブルが出た時があり、早めのピットストップに入って2ラップダウンに陥りました」

「ダウンフォースがなさ過ぎるからタイヤが滑ってブリスターが出ていた。タイヤメーカーが悪いんじゃありませんよ。もっとオーバーテイクの多い、テキサスらしい接近戦をやりたかった。お客さんもその方が楽しめるでしょう。7位は良いリザルト。でも、スタートが9番手だったんだから、もっと上位でフィニッシュしたかった。チームメイトは作戦も良く6位。この勢いを保って次戦のロード・アメリカに乗り込み、トップ争いを戦いたい」と話していた。

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