「セクター2を抜けて霧が晴れてからは、グリップが戻ってきた。それは良い感触だったね。でも最終ヘアピンでもブレーキングを早めにし、リスクを犯さないように務めたよ」
昨年9月に承認されたこのプロジェクトに関して、フォルクスワーゲン・モータースポーツ代表のスヴェン・スミーツは、もう2ヶ月ほど開発期間があれば、さらなるタイム短縮も可能だっただろうとの考えを明かす。
フォルクスワーゲンは、このパイクスピークの開発テストに最適なフランス・アルプスの山岳路、モン・ヴァントゥでのテスト機会を天候条件により失っており、ここは『プジョー208T16パイクスピーク』が開発段階で重要な役割を果たした場所ともなっていた。
「我々は重要な開発テストの機会を失っていたんだ」と説明するスミーツ。
「車両の設計と製造が終わり、マシンを走らせようという段階になったとき、5月のヨーロッパは雪と悪天候に見舞われていたんだ」
その走行テストを前に、フォルクスワーゲンは『I.D. Rパイクスピーク』のセットアップと、バッテリーの最適化に苦心していた。
「イベント1週間前のテストでも小さな問題が見つかっていた」と振り返るデュマ。
「最後のプラクティスセッションで、最終コーナーのバンプを避ける新しいラインとドライビング方法を発見した。これでさらに速く走ることができた」
この最後の1週間で、フォルクスワーゲンはリース・ミレンの持つ8分57秒118のEVレコードだけでなく、ローブの最速記録にチャレンジする環境がようやく整った。


