最後尾スタートのディ・グラッシはレース序盤は消費電力を抑える戦略を取ったため、レース4周目に突入した時点で16番手。対するバードは2周目を終えた時点でポイント圏内に入り、4周目には9番手まで浮上した。
11周目、ベルニュは6コーナーの飛び込みでイン側からフェリックス・ローゼンクヴィスト(マヒンドラ・レーシング)をオーバーテイク。12番手にポジションを上げる。
また、この直後にロッテラーがバードを交わして9番手に上がり、バードは10番手へ後退。チームメイトのアレックス・リン(DSヴァージン・レーシング)を挟んでチャンピオン候補ふたりがにらみ合う形となった。
14周目、6コーナーへの飛び込みでベルニュがリンを交わして11番手に浮上し、バードの後方へ。そして16周目の14コーナー、ベルニュがインからバードを交わしてポイント圏内の10番手に順位を上げると同時に、チャンピオンを争うライバルをポイント圏外へ追いやった。
その後、ロッテラーとベルニュのテチーター勢は編隊を組んで次々とオーバーテイクを披露し、20周目には6、7番手までポジションアップ。マシンを乗り換えた後も2台は編隊を組んで周回していく。

そして29周目、ベルニュがロッテラーを交わして5番手に。この時点でバードは9番手となっており、このままチェッカーを受ければ、ベルニュは最終戦を待たずしてチャンピオンを獲得できる計算だ。
レース残り10周となった35周目、リンが5コーナーで単独クラッシュしてリヤを大破。レースはフルコースイエローからセーフティカー先導の走行へと切り替えられた。また、このタイミングでバードはマーロ・エンゲル(ベンチュリ)に交わされ10番手にポジションダウンしている。
このセーフティカーの影響でレースは45分+1周の時間レースとなると、レースは残り時間約3分で再開。バードはこのリスタートでポジションアップを狙うと、残り30秒のタイミングで前を交わして9番手へ浮上した。
しかし、その後バードは追い上げが叶わず9位でチェッカー。ベルニュが5位で173ポイントまでポイントを積み重ね、バードとは31ポイント差。これによりベルニュが最終戦を待たずして王座獲得を成し遂げた。
「言葉にならないよ」とベルニュ。
「クレイジーなレースだった。実は2台目のマシンに問題を抱えていたんだ。コントロールラインを越えたときはチャンピオンになったかわからなかった。実感が湧くまで時間がかかりそうだ」
「ライバルたちを交わしていくのは簡単ではなかった。(前戦の)チューリッヒE-Prixより大変だったよ。ただ仕事は成し遂げた」

レースは予選11番手スタートのディ・グラッシが20周目にブエミを交わして、2番手に浮上。前を走るチームメイトのダニエル・アプト(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)とともにワン・ツー体制となると、マシンを乗り換えた直後の24周目にチームメイトを攻略し、そのままワン・ツー体制のままチェッカーを受けた。
なおチームランキングはテチーターが235ポイントでトップ。アウディスポーツ・アプト・シェフラーが5ポイント差に詰め寄っており、チームチャンピオン争いは最終戦に持ち越しとなった。
現行シャシーラストレースとなる第4シーズン最終戦のフォーミュラE第12戦は7月15日に予選・決勝が行われる。