日曜日の午後3時過ぎにスタートするはずだったレースは、午後2時頃から降りが強くなった雨により、月曜へと順延された。
月曜日は朝から快晴に恵まれた。しかし、風が強く吹き、スタート時刻が近づいても気温は摂氏20度に届いていなかった。昨日の雨で路面に載っていたタイヤラバーはすべて押し流されているうえに低温と強風。風向きは予選日とは逆だった。
レースコンディションは、前日に予想されたものより更に一段と厳しいものになっていたわけだ。当然、マシンセッティングの再考、調整を各チームとも行ってマシンをグリッドに並べた。

正午過ぎ、ABCサプライ500のスタートが切られ、幅の広いメインストレートを出場22台は一斉にダッシュしていった。ポールシッターのミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン)と、予選2位のジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)がトップを争う。そのすぐ後ろで琢磨は予選4位のエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)のアタックを退け、3番手を保って1周目を終えようとしていた。
ニューガーデン、アレシンの順で最終コーナーのターン3に進入。彼らとほぼ同じ間隔を保って琢磨が続いていた……のだが、ここで彼は突然スピンし、1回転と少し回ってノーズ側からセイファーウォールに激突した。かなり激しいインパクトだった。琢磨の身体が心配されたが、14号車から彼はコクピットから脱出。インディカー・セイフティ・チームの救急車まで自力で歩いていった。
■琢磨が語ったクラッシュの原因
「一切の予兆なしにリアのグリップが失われ、マシンはスピンし、ターン3出口のセーフティバリアに激突しました」と琢磨は振り返った。
「最後のプラクティスの時と今日とではコンディションが大きく違っていました。風の影響についても話し合っていたし、ダウンフォースを増やす必要性を検討していました。突風を心配する声もありました。しかし、今回のスピンは突風などによるものではなかったんです」