インディ第14戦ポコノ:ロッシが2連勝でランクトップのディクソンを猛追。琢磨は多重クラッシュに泣く
2位でポコノ3連勝を逃したパワーも、「今日はロッシの速さを讃えたい。最後のピットストップで彼の前に出ていたら、封じ込めることは可能だったと思う。前にマシンのいないクリーンエアでなら自分たちにもスピードはあったから。今日の僕らはトラフィックで速くなかった。アンダーステアに悩まされ続けていた」と話した。
3位はディクソン。予選は13番手と苦戦したが、レースでは見事に彼らしさが発揮されていた。
「ポイントを稼げのは悪くないことだが、今日のレース内容はフラストレーションの溜まるものだった。マルコ・アンドレッティの後ろを2~3スティントは走ったと思う。燃費セーブ・モードでコーナー手前でアクセルを早めに戻す相手をオーバーテイクすることでさえ本当に難しかった」
「明らかに遅い相手を抜けない状態が延々と続いたのだからイライラが募るのも仕方かったと思う。ポイントリードの減り具合を抑えることはできたけれど、ロッシがこの2戦で迫ってきた。自分たちはもっと頑張らないといけない」
「次のゲイトウェイで僕らはテストをしていないが、ロッシはテストをしている。自分たちとしては、持ち込むマシンのセッティングをレベルの高いものとし、そこから更にマシンを良くする戦いを展開しなくてはならない」とディクソンは語った。
■序盤には多重クラッシュが発生
レース序盤には大きなアクシデントがあり、中断は約2時間にも及んだ。最初のスタートでグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)に追突してイエローが出され、そのクリーンナップが終わって7周目にリスタートが切られると、その直後のターン2で5台がリタイアとなる多重クラッシュが発生したためだ。
ロバート・ウィケンス(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)がライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)にアタック。2台がターン2に並んだまま進入、2台はタイヤ同士が接触して絡み合い、ウィケンスは空を舞ってキャッチフェンスを破壊した。
このアクシデントではジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、ピエトロ・フィッティパルディ(デイル・コイン・レーシング)が巻き添えでのリタイアを喫した。
ウィッケンズは骨折などの負傷をした模様で、サーキットからヘリコプターでリーハイバレー病院へと搬送され、治療を受けている。
「勝てるマシンを作り上げたのは、アンドレッティ・オートスポートで、今回もっとも大きな貢献をしたのが、ポコノで先週テストを行ったザック・ビーチだ。彼による発見が僕らの今週末のアドバンテージになっていた」とロッシ。
「自分たちは今週末に成し遂げるべき課題を成し遂げた。しかし、ディクソンは3位という好結果を手にした。彼はリザルトの悪いレースがほとんどない。来週、再来週の2レースはチャンピオン争いで非常に重要な意味を持つだろうから、全力で臨む。今シーズン中にあと2勝し、タイトルを手にできたら最高だ」と続けた。
ディクソンに29点差まで詰め寄ったロッシ。残る3レースでのチャンピオン争いは、彼らふたりの間で繰り広げられることとなるのか? それともチーム・ペンスキーのニューガーデンとパワーが彼らに絡んでいくのか? 今週末のショートオーバル、ゲイトウェイでのバトルに注目だ。