このライバル脱落で労せず3番手に浮上しタイトル獲得の権利を手にした地元アズコナだったが、後方から迫るミケリスのヒュンダイや今季のTCR UKでも勝利を挙げている元BTCC王者サットンからのプレッシャーにさらされる苦しい展開となり、PCRスポーツのクプラは地の利を活かせず10周目のターン10でフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRのアタックを受けると、続く切り返しで2台ともに先行を許してしまう。
さらに背後にはアウディRS3 LMSの影が迫り、ベルネイとの直接対決を迎えるも、ここはなんとかしのぎきって12周のチェッカー。
2018年シーズン最終となるレース2を前に、勝利を飾ったタッシが153ポイントでベルネイと並びランク3位、2位表彰台のボルコビッチが154点でランク2位に浮上し、177点のアズコナを追う構図となった。
そして日曜午後16時を前にスタートが切られた最終ヒートは、オープニングラップでの波乱がほぼシリーズ争いを決めるまさかの展開に。
7番グリッドから出たアズコナは重圧からか、防戦むなしく10番手にまでドロップする苦しいスタートとなるも、その前方で勝負を繰り広げていたタッシとボルコビッチの2台が接触。後方からプッシングされる形でコースオフしたタッシはグラベルでストップ。一方のボルコビッチも続くラップでピットへと向かい、サスペンションダメージからリタイアを強いられることに。
タイトル争いのライバル2台がいきなり姿を消したレースで、残るはベルネイとの一騎打ちとなったアズコナだが、レース1と同様に12番手から上がってきたベルネイを無理せず前に行かせると、自身はアウディRS3 LMSのテールに最後まで張り付きフィニッシュラインへ。
ベルネイは7位のリザルトが精一杯で逆転はならず。8位アズコナが待望のチャンピオンを獲得。レースウイナーはKCMGの3台目を走らせたハーダーとなり、これによりKCMGがチームズタイトルを獲得。2位にダニエル・ナジー(ヒュンダイi30 N TCR/M1RA)、そして3位にはTCR EUデビュー戦で初表彰台となったサットンが入った。
「信じられない、本当に素晴らしい瞬間だ。僕の人生の中で最もエキサイティングな出来事なのは間違いない。こんな素晴らしいドライバーたち、数多くの自動車ブランドの中でチャンピオンを獲れたなんて最高の気分だ」と喜びを語ったアズコナ。
「タッシやボルコビッチと競ることになったオープニングラップの状況が一番難しく、緊張する場面だった。誰もがチャンピオンシップを意識していたからね。でもそれが過ぎてからは本当に快適に走ることができた」
「ベルネイが迫ってきて1コーナーでホイール・トゥ・ホイールになったけど、マシンを無傷でゴールへ運ぶことだけに集中したんだ。その後はとてもイージーだった。今はクプラのみんな、それに家族と一緒にお祝いの時間を楽しみたいと思っているよ」



