さらに後方グリッドからの追い上げを期したディ・グラッシやルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ)らがタイヤマネジメントに徹する老獪な走りで、レース終盤までストップを伸ばし優勝戦線に顔を出してくる。
オーソドックスなタイヤ交換戦略を採用したトップ勢と入り乱れて終盤へと向かったトップ10オーダーは、ゾンタが首位をキープし、2番手にカンポス、3番手カサグランデ、そして4番手にリカルド・マウリシオ(フルタイム・スポーツ)が浮上し、セラは5番手に。
すると終盤に向けオーバーテイクボタンを温存していたディ・グラッシがセラの背後にまで浮上し、ここぞの場面でパワーを解放しセラを6番手に追いやると、その後方まで這い上がってきていたシムド艦隊、2015年王者マルコス・ゴメスと2016年王者フラーガがチームプレーを見せポジションを入れ替え、フラーガをセラの背後に送り出し、ついに直接対決の舞台が整う。
そして迎えた緊張のファイナルラップ。最終周にピットへ向かったアッティラ・アブレウ(シェルVパワー・レーシング)が抜け、各車ひとつずつポジションを上げたタイトル争いの車列は、ターン3の“クルヴァ・ド・ソル”から、4番手のディ・グラッシを巻き込み3台がサイド・バイ・サイドの状態で高速ターン6、7に突入。
ここでアウト側に追いやられたディ・グラッシが弾き出されると、そのまま最終セクターでもポジションを守ったセラが4位でゴールチェッカー。勝者ゾンタ、2位カンポス、3位カサグランデの表彰台背後で争われたタイトル決定戦はセラに軍配が上がり、薄氷の勝負を制してシリーズ連覇を決めて見せた。
「本当に何が起きるか分からないので、とてつもなく緊張した。とにかくタイヤをケアして、マシンをゴールへと運ぶことだけに集中したよ。ポイント差はあったけど、トラック上でそんなことを計算する余裕もなかった」と、開放感とともタイトル連覇の喜びを語った34歳のセラ。
「レース中はナーバスになっていた証に、中盤は6回も『パンクしたのでは』と感じることもあった。それでもコースに留まり続け、なんとかフェリペ(フラーガ)に勝つことができた」
「今の今まで考えてもいなかったけど、この連覇で(父であるチコ・セラの持つ)3度目のタイトル獲得へ挑戦できる環境が整った。もし父に並べたら、僕のキャリアは大成功だと言っていいだろうね!」



