一方のトルドフは「この移籍を驚いている人もいるだろうし、チーム力を考えれば”負け犬の選択”だと言う人もいた」としながら、決断に至った背景を説明した。
「もちろん、最初から僕のレーダーにAmDの名が挙がっていたわけではないけれど、『いつの日かホンダでレースをしてみたい』という考えは持っていた。なんと言っても、僕をタイトル争いで負かしたゴードン・シェドンが乗っていたマシンそのものだからね」と笑うトルドフ。
「コブラ・スポーツAmDは、マシンを購入しただけでなくファシリティも含め組織のエンジニアリング面を大幅に強化すべく大規模投資を行っている。これで環境的な言い訳はなくなり、マシンは昨季の最終戦で(ユーロテック・レーシングのジャック・ゴフが)ポールポジション獲得から勝利を挙げた戦闘力も持っている。2019年の狙いはひとつしかないよね」
トルドフ、ブッチャーの所属する”コブラ・スポーツAmD”に対し、新たにパープルカラーとなる予定のアウディS3セダンを走らせる”トレード・プライス・カーズ・レーシング”には、かつてチームHARDでフォルクスワーゲンCCのステアリングを握った24歳のジェイク・ヒルが加入。
そして2018年はシシリー・モータースポーツのメルセデス・ベンツAクラスでBTCCデビューを飾ったトム・オリファントが、名門WSRに移籍することも発表された。
現在28歳のオリファントはジネッタGT4スーパーカップでのタイトル獲得経験やポルシェ・カレラカップ、ブリティッシュGT選手権での実績もあり、後輪駆動のBMWでも「最初から競争力を発揮できるはずだ」と自信を見せている。
「2019年、BTCC2年目のシーズンでWSRに加入できるなんて夢のような話だ」と、喜びを語ったオリファント。
「2018年のチーム王者はもとより、過去10年で10のタイトルを獲得する文字どおりのチャンピオンチームだ。昨年は前輪駆動のメルセデスを経験でき、これまでのリヤドライブとの蓄積を合わせて、このBMW125i Mスポーツをすぐに体得したい。そしてWSRのドライバー誰もが満喫したような結果を、僕も追体験できるように全力を尽くしたい」
この移籍劇により、2018年王者コリン・ターキントン、2013年王者アンドリュー・ジョーダンとともに長年WSRで戦ってきたロブ・コラードがチームから放出される形となり、在籍11年で13勝、56の表彰台を獲得した実力者は他チームへの移籍か、自らのチームを立ち上げてのBTCC参戦かを模索する状況となっている。



