決勝は今週いちばんの暑さになった。気温は27度と夏と変わらず、路面温度はスタート時点で45度オーバー。ソフトコンパウンドのレッドタイヤの耐久性が心配になるコンディションだった。
そのため出場全車がスタート時にレッドタイヤを装着。早めにピットストップし、レースの大半をハードコンパウンドのブラックタイヤで走ろうという作戦を採用した。
ただ、予選2番手のニューガーデンだけが、予選で少ない周回数だが使っているユーズドタイヤを履いていた。他の23台は序盤にポジションを落とさぬよう、グリップの高い新品レッドを選んでいた。

スタートでニューガーデンは2番手から3番手へと後退。予選3番手だったルーキーのローゼンクヴィストがアグレッシブな走りで2番手のポジションを奪い取った。
ポールスタートだったパワーは順調にトップを保ち続けたが、セバスチャン・ブルデー(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・バッサー・サリバン)がトラブルでストップした際に“イエローが出る”と考えたチームは彼を急遽呼び入れたが、コーションにはならず。早目のピットでトップを明け渡したパワーは勝利から遠のいた。
ローゼンクヴィストは31周もレースをリードした。しかし、ピットストップの長さでトップから陥落。

ニューガーデンがトップに立ち、ディクソンのアタックを退けて彼は優勝へと逃げ切った。
第3スティントで新品レッドを投入した作戦もニューガーデンの勝利を後押しした。ライバル勢がブラックを使い続ける中、ニューガーデンは逆転不能な大リードを築いた。
「ベストを出せるタイミングで本当のベストラップを完成させることができなかった」と予選2番手を悔しがっていたのがニューガーデンだったが、レースでは作戦も走りも完璧で、開幕戦の勝利を手繰り寄せた。
「昨年の自分たちはストリートでのパフォーマンスが不足していた。チームはマシンのセッティングを改善し、シボレーはエンジンのパフォーマンスを向上させた。それらによって、今週の僕らはストリートでの実力が高まっていた。マシンはドライビングがしやすいものになっていた」とニューガーデンは語り、「このままどのレースでもトップ3、トップ5に入れる戦いを続け、2度目のタイトルを獲得したい」と締め括った。

2位はディクソンで、3位はパワー。ローゼンクヴィストは表彰台こそ逃したものの、デビュー戦で4位の好成績を挙げた。
アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)は優勝争いに絡めない中でしぶとく5位フィニッシュ。6位はジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が入った。

ディクソンは、「スティントの大半を速く走れていながら、終盤にはペースダウンしていてニューガーデンをパスするところまでいけなかった。セッティングに改善の余地ありだ」とコメント。
3位となったパワーは、「作戦と展開が自分たちに味方しなかった。最初のピットストップでトップを明け渡し、そこでできた差を最後まで跳ね返すことができなかった。3位は悪くない結果。安定感を保ってタイトルを目指したい」と話した。
シモン・パジェノーは新シーズンの開幕戦でもチーム・ペンスキーで最もパフォーマンスが低い状態からまるで抜け切れておらず、7位。ローゼンクヴィストの活躍の陰で目立たなかったが、ルーキーのコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)が若狭に似合わぬ安定感ある走りで8位完走。
9位もルーキーのサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)で、10位はジャック・ハーベイ(マイヤー・シャンク・レーシング・ウィズ・アローSPM)のものとなった。
琢磨はリタイアで19位。20番手スタートからジワジワとポジションアップ。パジェノーの後ろ、ハータの前の8番手までポジションを上げてフィニッシュを目指していたが、ギヤボックスのトラブルでリタイアへと追い込まれた。
「スタート、リスタートで数台をパスし、通常のバトルの中でザック・ビーチをオーバーテイクした。8番手まで大きくポジションを上げることができた通り、チームとしての戦い方は良かった。最速ではなかったけれど、マシンのレベルは悪くはなかった。それだけにトラブルによるリタイアは本当に残念。第2戦のサーキット・オブ・ジ・アメリカズでのレースで頑張りたい」と琢磨は話した。
