首位のロッテラーは徐々に後方との差を広げ始める。その後方ではアタックモードを使う5番手のロビン・フラインス(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)が、前を走るブエミを攻め立てるも結局追い抜きはならず。
そのブエミは8周目に、その翌周にはバンドーンもアタックモードを稼働。バンドーンはロッテラーとエバンスの背後まで迫り、3者は等間隔でレースを展開していく。
13周目、フェリペ・マッサ(べンチュリ・フォーミュラEチーム)のマシンにトラブルが発生しコース上にストップ。これによりフルコースイエロー(FCY)が導入された。
すぐにFCYは解除され、首位ロッテラーと2番手エバンスとの差は0.5秒で推移し、レースは後半戦へ。エバンスは残り20分を切った17周目にアタックモードを稼働し勝負に出る。
ロッテラーはアタックモードを使わず、巧みなブロックラインを取りながらエバンスの猛攻をしのぐ。両者はテール・トゥ・ノーズだがクリーンなバトルを展開する。
アタックモードが残り1分を切ったエバンスは、19周目の最終コーナーのブレーキングでロッテラーのインに飛び込みトップに浮上。20周目にはロッテラーもアタックモードを稼働し首位奪還へと向かう。
トップ争いをするエバンスとロッテラーは、3番手バンドーンに2秒以上の差をつけ、レースはふたりの一騎打ちの様相に。
ファステストラップを刻むも1度目のアタックモードでの追い抜きが叶わなかったロッテラー。24周目に、ふたたびアクティベーションゾーンを通過しエバンスを追う。
左右にマシンを振り、時よりブレーキスモークを上げて猛追を見せたロッテラーだったが、4分間のアタックモードが終了。トップを奪えなかったロッテラーだが、エバンスのテールに張り付き、虎視眈眈と追い抜きのチャンスを伺う。
ラスト2周、両者のバッテリーが5%前後に推移し、エバンスのピットからは「ペースを落とせ」という指示が飛ぶ。
エバンスはロッテラーを抑えたまま、バッテリー残量が2%とギリギリの状態でマシンをフィニッシュラインまで運び、フォーミュラE初優勝を飾った。今シーズン7人目の勝者の誕生だ。
「ジャガーにとってタフな時期が続いていたので、勝ててよかったよ。ロッテラーの追い抜きは難しかったのでラスト1回のアタックモードで一発勝負にかけていたんだ。ジャガー最初の勝者になれてうれしく思う」とエバンス。
2位は序盤からエバンスとのバトルを展開したロッテラーが、昨年のローマE-Prix以来のポディウムに。3位のバンドーンは、これがフォーミュラE参戦後初の表彰台を獲得した。
ロッテラーは「抜けなかったのは残念だったけど、いいバトルができてよかった。チャンピオンシップポイントを考えれば、今日の順位は良い結果だと思うよ」とコメント。
ニッサン勢はブエミが5位、ローランドが6位と2戦連続のダブル入賞。またブエミはファステストラップを記録しボーナスポイントを獲得した。
これで7戦が終了した今シーズンのフォーミュラEは、これまでポールシッターとレース勝者がそれぞれ7名誕生する大混戦に。次戦は4月27日にフランス、パリで開催される。