昨年のインディでは予選でも決勝でもシボレーエンジンがパワーアドバンテージを持っていた。インディカーのルールで、2020年までエンジンの設計変更が許されるエリアは非常に限られているが、その中でホンダがどこまで巻き返すかは楽しみだ。
合同テスト最速はホンダ使用の琢磨で、トップ10にホンダドライバーは5人が入っていた。パワー差は縮まっているのだろうか?
気温が摂氏16度と低かったテストを終えた琢磨は、「今日の速さは人工的と言うか……。気温が低いためにダウンフォースは大きく、エンジンもパワーが出やすい状況とスピードが高くなる要素が揃っていました」
「最速ラップは大きなトウを使ってのもの。それでも、とても良い今年のインディのスタートになったのは事実。マシンはとても安定していた」と話していた。
シボレー軍団では、インディでのポールポジション獲得3回のエド・カーペンターがテストで2番手につけた。彼は悲願の初優勝に意欲を燃やしている。
4番手につけたパワーは、当然2連覇を目指す。そして、彼のチームメイトたちは、ジョセフ・ニューガーデンとシモン・パジェノーが初優勝を、エリオ・カストロネベスは史上最多タイに並ぶ4勝目を虎視眈々と狙っている。

■新しいエアロパッケージの使い方が上位進出のカギに
2018年はユニバーサルエアロキットで戦う初めてのインディ500で、例年にない暑さも手伝ってオーバーテイクの少ないレースだった。
インディカーは抜きつ抜かれつのよりエキサイティングなレース実現を目指し、シャシーコンストラクターのダラーラとの共同作業でフロントウィングのエンドプレートを設計変更。
エアロのルールも変更し、昨年のポコノで導入されたフロント・ウイング・エクステンションの使用が許可され、フロント・ウイングにもリヤ・ウイングにもウィッカー=ガーニーフラップの用意された。
セッティングの幅が大きく広げられたエアロパッケージでアドバンテージを真っ先に見出すのはどのチームだろうか?
そして、インディカーの思惑通りにオーバーテイクの多いレースとなれば、マシンのドライバビリティの重要性が高まるため、エンジンのピークパワーは無視できない要素であり続けるものの、パワーバンドの広さがポイントになって来るケースも出てくる。
過去5年間のインディ500で3勝と最も良い成績を残して来ているのがアンドレッティ・オートスポート。彼らは今年も5台体制(コナー・デイリーがスポット参戦)で、ハーディング・スタインブレナー・レーシングの1台(ハータ)も加割るため、データ量はダントツだ。
同じ5年間の残り2戦で勝っているチーム・ペンスキーもエリオ・カストロネベスを加えた4カー体制と強力。新しいエアロパッケージをどれだけ上手く使うかが大きなポイントとなるだろう。

今年の500ではフェルナンド・アロンソの二度目の出場も大きな話題だ。初参戦で優勝争いに加わった通り、F1ワールドチャンピオンはオーバルへの順応も驚異的に速かった。
しかし、2年前とはマシンのエアロが大きく変わっており、データ量ナンバーワンのアンドレッティというチームも彼の背後にはいない。マクラーレンが立ち上げたインディカー専用チームは、カーリンとのジョイントでの出場。頼れるチームメイト的存在も脆弱だが、2年前のように優勝争いへと絡んで来るかはおおいに興味のあるところだ。
インディアナポリス・モータースピードウェイで繰り広げられる“マンス・オブ・メイ”。今年も白熱の1カ月になるだろう。