予定された13周より早く最大延長時間が訪れそうな9周目のリスタートからはさらにバトルが激しさを増し、首位のオキーフが逃げを打つ間にFK8のダルベルト、こちらもVASCドライバーのジェームス・モファット(ルノー・メガーヌR.S.TCR)、そしてタンダーのアウディが3ワイドになると、インを抑えたモファットが2番手へ。もっともアウト側に位置どったタンダーが再びポジションダウンを喫してしまう。
この勝負の隙を突いたのがその後方を走っていたブラウンで、ホンダとアウディをまとめてかわすと、ファイナルラップでルノーのモファットも仕留めて2位フィニッシュ。このオーバーテイクで初勝利を飾ったオキーフに対し、わずか6ポイント差で選手権首位を維持することに成功。3位にルノー初となる表彰台を獲得したモファットが続き、ダルベルト、タンダーのトップ5となった。
続く日曜に開催されたレース2、レース3も荒れた展開となり、土曜決勝のリザルト順でスタートしたレース2は、アルファのオキーフがヒュンダイのブラウンを抑えて連勝を飾るなか、オープニングラップ後方では再びの混乱が発生。
5番手モファットのメガーヌがスピンを喫し、ハイムガートナーのスバルやタンダーのアウディを巻き添えにすると、彼らがコース復帰したところで2度目のアクシデントが起こり、VWのキャメロンを中心に接触の連鎖が起こり、スピンモードに陥ったタンダーのアウディは妻であるリアンのRS3にヒットしてストップ。このレース唯一のリタイヤとなってしまった。
そして1時間のインターバルを経てスタートしたレース3は、同じくフロントロウに並んだオキーフとブラウンが力強いダッシュを見せる。しかし悲劇はターン2で口を開けて待っており、ターン1出口からサイド・バイ・サイドでの軽い接触に堪えきれずスピンを喫したアルファロメオは、その後方から迫ってきた2台のホンダとスバルを混乱に陥れ、ハイムガートナーがダルベルトのシビック後方にヒット。
そのダルベルトに押された形でスピンしたチームメイトのジョン・マーティン(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)がリヤからアルファロメオに突っ込む形となり、GRMのマシンはTボーンの状態で大破。
さらに女性ドライバーのアレクサンドラ・ウィットレー(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)は回避行動でラジエターを破損し、同じくチェルシー・アンジェロ(ホールデン・アストラTCR)はTCR初参戦のハミシュ・リバッツ(アウディRS3 LMS)にヒットされるなどクラッシュが連鎖し、ここで連日出動のSCがコースインすることに。
これで楽になったHMOカスタマー・レーシングのブラウンは、チームメイトのマルコムを引き連れワン・ツー・フィニッシュを飾り、選手権でもオキーフを52ポイント引き離す盤石のリードを築いた。
3位にはMPCのアーロン・キャメロン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が入り、同じくMPCでTCRデビューの週末を戦ったタンダーがR2の雪辱を果たす4位フィニッシュ。妻のリアンもトップ10入りし、夫婦で完走を果たしている。
シリーズの醍醐味とも言える肉弾戦が続くTCRオーストラリア、その初年度シーズンの第3戦は7月13~14日にオーストラリア南部アデレード近郊にあるザ・ベンド・モータースポーツ・パークで開催される。



