コスワースがシルバーストンで行ったパフォーマンス・シミュレーションによれば、エンジン回転数の低い領域でより効果的なゲインが見込めることが確認されており、コプス・コーナーからの脱出では、非装着車に比べて次のブレーキングゾーンまでに「8mのアドバンテージが見込める」という。
実際のレース運用では、オープニングラップを終えたところで各ドライバーはシステムのエネルギー使用や回生を任意でセレクトすることが可能となり、必要な場合はトラックのどのゾーンでも1ラップあたり最大15秒間のハイブリッドエネルギーを使用することができる。
ステアリングに装着されたボタンでシステムの作動をコントロールし、そのエネルギー使用時には約40bhp(約40PS)のエクストラパワーを供給。また、ブレーキ使用時やエネルギー上限に達した場合など、いくつかの要件を満たした場合にはエネルギー供給がカットされ、さらにボタンを1秒間長押しした場合や、スロットルのリフトや急なペダル操作などの要件でも、ハイブリッド機構の作動が解除されるシステムが採用された。
電気モーターとデルタ・モータースポーツ製のバッテリーを含めたシステム総重量は64kgとなり、このハイブリッドの出力や回生比率の調整を行うことで現在のサクセスバラストの運用を代替する。これにより75kg上限だったバラスト搭載量より約10kgほど最大車両重量が軽減されることになった。
今後もテストやシミュレーションを通じてエネルギー放出量や回生の効率などを洗練させるとともに、アップデートされたギヤボックスケースの耐久性やインタークーラー位置やパイピングの見直しも含め、NGTC規定ツーリングカーへの最適化が図られることになる。

