フォルクスワーゲン・モータースポーツは、すでに本拠地のドイツ・ハノーヴァーから同社初の試みとなる”鉄路”でマシンを輸送。ポーランド、ベラルーシ、ロシア、カザフスタンを経由し、はるか1万1000kmもの道のりを経て、シルクロードに沿って中国へと入国した。
そして9月2日には、天門山に2006年に整備された『Big Gate Road(天門山大門道路)』でのタイムアタックに挑戦。8年の建設期間を経て建設された天空のワインディングは、全長11km、99のタイトコーナーからなり、131.5mもの高さを持つ天然の要害”Heaven’s Gate(天国の門)”をくぐり抜けながら、断崖絶壁を駆け抜ける。
地元住民が敬意を込めて「空飛ぶドラゴン」と呼ぶそのワインディングで、ID.R.のステアリングを握るロマン・デュマは、「天門山とそのビッグゲートロードは、世界でも屈指の美しさと難易度を持つ峠だろうね」と、公道タイムアタックに向けた意気込みを語った。
「見事な自然の光景と、人間の手による道路建設技術が完璧に融合している。道幅は最小限で、コース脇にはわずかなブロックが点在するだけだ。レーシングスピードでこのワインディングを攻めるのは、ドライバーにとって本物の挑戦になるだろう。最大限の敬意を持って挑みたい」と続けたデュマ。
荒れたサーフェスながら全舗装となる行程は、ターン88付近で道幅が5〜6mとコース最小幅に狭まり、ここがひとつの難所に。フォルクスワーゲン・モータースポーツによれば、このボトルネック部では約25km/h程度まで速度を落とす必要があるという。そのコーナー脱出後には500kW (680PS)の『フォルクスワーゲンID.R.』は、ストレート最長区間で約230km/hに達するだろう、とのシミュレーション結果を明かしている。


