続いて行われた対談では、世界に挑戦するという共通点を持つ小山と渡嘉敷選手が初対面。小山は、対面前から「自分に似ている」と言われていた渡嘉敷選手を前に、「思考が似ている」と納得。一方の渡嘉敷選手も、小山を見て「22歳の時の自分はこんな感じでした」と話し、お互いに初対面とは思えないような雰囲気のなかで対談が行われた。

 渡嘉敷選手は高校総体で3連覇を達成すると、日本最高峰のWリーグではJX-ENEOS サンフラワーズに入団し、現在は史上初となるリーグ11連覇中だ。またWリーグのオフシーズンを利用して2015〜17年にはアメリカのWNBAにも挑戦し、2016年のリオデジャネイロ五輪ではチームを20年ぶりにベスト8へ導くなど、日本を代表する選手として活躍している。

渡嘉敷来夢選手
バスケットボール女子日本代表の渡嘉敷来夢選手

 そんな渡嘉敷選手は、「2つ年上の兄には絶対に負けたくなかったし、男女関係なく誰にも負けたくない」という根っからの負けず嫌いであることを明かすと、小山は「負けず嫌いではなかった」と意外な一面を見せた。とはいえ『何でも一番、絶対勝つ』というモットーを掲げている小山は、こんなエピソードを明かした。

「父が『何でも一番、絶対勝つ』という感じだったので、“負けない”というよりも”勝ちたい”でした。いつも手やカートのバンパーに『勝つ』と書いていましたね」

「だからレース前には、カツとモツを食べるんです。カツは『勝つ』、モツは『トロフィーを持つ』とかけてゲン担ぎをして、何でも繋げています。『粘り強く』の意味ではネバネバするものを食べたりもします」

 ただ渡嘉敷選手も試合の前に同期の選手とカツを食べに行くことがあるようで、験担ぎを大切にするという共通点が見えた。

 さらに小山と渡嘉敷選手の共通点は、こんなところでも見えた。14歳の時に一度レースを辞めた小山は、何もすることのない日々を過ごした経験から、高い壁を前にしても前向きな気持ちを持つことができるようになったのだという。

「(レースを辞めたことで)頑張ることがなくなって、こんなにも1秒って長いんだと思う毎日を過ごしていた時が一番退屈でした。だから高い壁が現れたとしても、レースに関わって忙しくできる日々が幸せだなと心から思えるんです。そういうもの(退屈な時期)を味わっていると『いくしかない』と、また一歩成長できるなという気持ちになります。物事の捉え方が変わりました」

 渡嘉敷選手も怪我の療養中にプレーができなかった時期を過ごして、“考え方のリハビリ”をすることができたとのこと。両者とも、やりたいことができなかった期間を通して前向きな考え方ができるようになったようだ。

「考え方がポジティブになりましたね。プレーができない期間中に、『プレーできる間は、一瞬一瞬を大切にして楽しもうかな』と考えられるようになりました」

「ミスをしたら落ち込んだり、できなかったらどうしようと考える自分と戦っていましたが、怪我をした時期に『そうやって考えて練習してもなあ……』と開き直ることができました。足の怪我のリハビリが、いい感じに考え方のリハビリにもなりました」

 女性アスリートとして世界に挑戦するという大きな経験を積んだ小山と渡嘉敷選手。彼女たちの同世代や、また彼女たちよりも若い世代にも、同じように海外を目指す人は多いだろう。一足先に海外を経験した小山と渡嘉敷選手は、自分の夢に向かう若者に向けて次のように述べた。

「挑戦することによって、新しい自分だったり、今まで味わったことないものを味わうこともできると思います。スポーツだけじゃなくて、勉強や仕事に関しても言えることですし、そういった形でやっていけば様々な感情にもなれる。自分はそういうことを心がげているので、毎日同じことの繰り返しというよりも、刺激的な毎日を送れるのではないかと思います」

「楽しいことも合わないこともありますが、それを自分がどう受け入れるかではないでしょうか。何かをやってみてダメだったらそれを辞めて、新しいことに挑戦していけば、経験になります。日々進化しながらそういったことを大事にして、最強になりたいです」(渡嘉敷)

「挑戦がある限り、成長があると思います。好きなことをやったほうがいいですし、辞めたければ辞めればいい。どんなこともポジティブに受け止められる精神は、愛があるから生まれるものですし、愛がなければ嫌になって、投げ出してしまいます」

「ひとつ投げ出せばふたつ目も3つ目も投げ出すので、まずは何かひとつ最初から最後までやり遂げることが大切です。それを身につけたうえで、やるなら死ぬ気でやったほうがいいし、嫌だったら辞めたほうがいいです」

「夢は必ずF1ドライバーになることなので、そこに向かって成長できるようにしたいです。Wシリーズは7位でしたし、FIA-F4ではトップを獲れていません。クルマの性能が変わるので難しい部分もありますが、それはある意味成長できる部分でもあるので、あと2大会しかないけれど、結果を出して良い報告ができるシリーズにしたいです」(小山)

 今回の対談を通して、世界へ挑戦したことに加え、様々な共通点が明らかになった小山と渡嘉敷選手。競技は違えど、「他人の決めた通りに動いてしまうと、失敗した時に人のせいにしてしまう。だから何事も自分の意志で行動している」と同じ考えを持つふたりが、2020年以降にそれぞれどのような活躍を見せてくれるのだろうか。

 小山は、今月スポーツランドSUGOで行われる第11、12ラウンドと、11月にもてぎで開催される第13、14ラウンドに参戦する。また渡嘉敷選手も、まずは日本代表として今月下旬よりインドで開催されるFIBA女子アジア杯に出場し、10月からスタートする2019/20年シーズンのWリーグでは、リーグ12連覇を目指して戦う予定だ。

『#USLETE 対談 世界に挑戦する女性アスリート 小山美姫×渡嘉敷来夢』
終始笑顔で対談に臨んだ小山美姫(左)と渡嘉敷来夢選手(右)

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