このマシン回収で9周目まで続いたセーフティカーピリオドが開けると、先頭を走るブッチャーのシビックがなんとか隊列をコントロールして首位を堅持。しかしレース中盤を過ぎた頃から2速ギアに不調を来し始め、低速コーナーの立ち上がりで苦しい状況に追い込まれていく。
その異変を見逃さなかった2番手ジョーダンは、イエロー&ネイビーの新型BMW3シリーズを左右に振って地元ドライバーを揺さぶると、27周のファイナルラップを目前にした最終ヘアピン進入でサイド・バイ・サイドに。
イン側の縁石をカットするラインで応戦したブッチャーと、ジョーダンのBMWはラインを交錯しながらホームストレートへ立ち上がると、2速を失ったシビックに勢いなく、BMWのノーズが先に最終周へと突入。
しかし1コーナーのダフス・ディップへのブレーキングでわずかに姿勢を乱したジョーダンがワイドになりエスケープロードへ逃れると、続く右の”McIntyres(マッキンタイア)”でインサイドを奪ったブッチャーが首位を奪還。そのまま手負いのマシンをフィニッシュラインへ導き、値千金の勝利を飾った。
「ホームの大観衆の前で優勝できるなんて、本当に信じられない気分だ! 最終ラップ目前のセクター2まではなんとかマネージしてギャップを維持したけど、ヘアピンで前に出られた時は正直『終わった』と思っていたよ(笑)。でもホームコースは最後まで僕を見捨てなかった。すべてはサム一家に捧げる勝利だ。彼らのために優勝できたことは本当に良かったよ」と、今季3勝目を挙げたブッチャー。
続くレース2は、レース1で惜しくも2位に終わっていたジョーダンが最前列2番手から雪辱の勝利を挙げ今季6勝目をマーク。一方、ポール発進のブッチャーは、2位のカミッシュに続いて3番手争いを繰り広げたターキントンと接触し、自身は生き残って3位表彰台を確保するも、王者はグラベルへスピンオフしトップ10圏外へ。
このアクシデントでブッチャーに対しグリッド降格のペナルティが与えられたレース3は、トップ10リバースのポールからスタートしたトレードプライスカーズ・ドットコムのジェイク・ヒル(アウディS3セダンBTCC)がBTCCキャリア初優勝をマーク。
ターキントンは後方からの挽回を期すも10位に終わり、ジョーダンもアクシデントに巻き込まれたものの、これでポイントスタンディングは首位ターキントンの268点に対し、2位ジョーダンが258点、3位カミッシュが257点と大幅に差を縮める結果となっている。
BTCCの2019年シーズンも残すは2戦といよいよ大詰め。続く第9戦は9月28〜29日にシルバーストンで争われる。