マドリード北西部のテクニカルなサーキットで、きっちりと王者の仕事を果たしポールから発進したハーンは、地元の大声援を受けるアルバセテを抑え込みホールショット。3番手スタートのサッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ30/マン)に続き、同じくセカンドロウに並んだシュティフィ・ハルム(チーム・シュヴァーベントラック・レーシング/イベコ)は、2017年王者のアダム・ラッコ(ブッジーラ・レーシング/フレイトライナー)と、メルセデス使いノルベルト・キス(タンクプール24レーシング/メルセデスベンツ・トラック)を従えて、12周のレース全域でテール・トゥ・ノーズのバトルを展開する。
しかし首位走行でいつもの集中力を切らさなかったハーンは、じりじりと2番手以下を引き離しにかかり、トップ3はそのまま大きなポジション変動なくチェッカーフラッグ。ハーンが王座確定後の勝利となる今季13回目の優勝を飾り、アルバセテ、レンツの表彰台。ハルムは0.2秒差でラッコとキスを抑え込み、4位を死守した。
続くリバースグリッドの土曜レース2もライバルのペナルティ裁定で繰り上げの3位。続く日曜のレース3はポール・トゥ・ウインを飾ったラッコに続く2位。そしてシーズン最終戦のレース4も週末2勝を挙げたキスの背後、連続2位表彰台で締めくくったハーンは、冷静に週末を振り返ると同時に、たった一言だけ父について触れた。
「まずはレースに勝つことができて本当に幸せだ。土曜のレース1はスタートでアントニオを抑えきり、そのままリードを築くという戦略で臨んでいて、それがきっちりと機能した。タイトルを獲得した後もチームがふたたび勝利を収め、勝ちを重ね続けられることを本当にうれしく思う。そして日曜も、スピードリミッターに些細なトラブルがありながら、ヨーロッパ王者として臨んだ週末で2度も2位表彰台に上がれて最高だった。もちろんすべてが上手くいくことなんてないのが人生だ。でも今はOKさ、僕はとても幸せな男で、チームと……父のことを心から誇りに思っている」


