するとレース終盤、161ラップのチェッカーまで残り30周を迎えた時点で888号車ジェイミー・ウインカップ/クレイグ・ラウンズ組が首位に立ったところで最終スティントが近づいてくると、優勝争いは燃費走行組とセーフティカー出動タイミングがカギを握る、頭脳戦の様相を呈してくる。
この日、再三出動のセーフティカーが明けた130周目のリスタートでウインカップがリードを守るも、彼の888号車はトリプルエイト・レースエンジニアリングの戦略により極端な燃費走行を強いられており、背後に迫る2台のDJRチーム・ペンスキー勢が優位な燃調マッピングでみるみる差を縮めてくる。
さらにその背後では、TCRオーストラリアにも参戦中のアンドレ・ハイムガートナーとブライス・フルウッド組のニッサン・アルティマが先頭集団に追いつき、GRM(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ)のジェームス・ゴールディン/リチャード・マスカット組を抑え4番手を守る好走を見せる。
さらにニッサン陣営のもう1台、5番手を走るエースのリック・ケリー/デイル・ウッド組も、SVGとガース・タンダーの97号車を6番手に封じるなど、マスタング、コモドア、アルティマが全く異なるペースでトラック上での周回を重ねていく。
すると最後のピットウインドウが近づいた135周目。ワイルドカード枠で「夢のバサースト1000」にチャレンジしていた北米インディカーのスター・ペア、アレクサンダー・ロッシ/ジェームズ・ヒンチクリフ組の27号車が、ここまでの力走もむなしくマーレイ・コーナーでグラベルトラップに捕まり、再びのセーフティカー導入に。
これがトリガーとなり上位勢は一気にピットへ向かうと、首位888号車ウインカップと2番手17号車マクローリンは同時にボックスへと入り、3番手を走っていた12号車のクルサードは”ダブル・スタッキング”と呼ばれるピットロード作業待ちを避けるべく、コース上を極端なスローペースで走行し、後続の燃費走行組は我慢のレースペースで築いたトラックポジションを台無しにされ、大混乱に陥ることに。
DJR陣営の無線では「エンジンの水温が異常値を示している、速度を抑えてピットに戻れ」との内容だったが、これが実質的なチームオーダーだとしてレース後のライバル陣営から規定違反の審議依頼が出され、レース後のパドックは紛糾する事態に。


