しかしスタートではその戦略を早々に吹き飛ばすようなアクシデントが発生し、ポールシッターのレオンがまさかのエンジンストール。周囲や後続ドライバーがぎりぎりのところでかわしていき大惨事には至らなかったものの、これでグリッド後方にまで下がると、代わって2番手にいたポイントリーダーのペーニャがレースを牽引していく。
車列中団では、トヨタのファクトリーマシンをドライブするウルティアが、TCR規定マシンとは異なる流儀に戸惑ったか、序盤3周で8番手スタートから12番手にまでポジションを落としてしまう。
対照的にこのシリーズで2014-15年に連覇を達成し、プジョーとともに王者獲得経験を持つジロラミは、2019年からワークス参戦を開始したホンダ・シビックSTC2000をモノにし、序盤からトップ10圏内に浮上してくる。
10周を経過したところで首位のペーニャは2番手のミラに約4秒のマージンを築く盤石のレース運びを見せ、ストールで後退したレオンも12周目にはウルティアとの接触バトルを制して12番手にまでポジションを回復してくるなど、決勝レースでもフルーエンスGTの優位性が遺憾なく発揮されることに。
ミニマムの25周でピットへと向かった選手権リーダーのペーニャは、フロント2輪交換の奇策でフィネンチへとスイッチ。すると元フォードのプライベーターチームで活躍し、昨季はトヨタでもドライブした実力派は、後続に脅かされることなくレースを支配していく。
200kmのレース距離より先に最大制限時間の80分に到達したことで、フィネンチが57ラップでトップチェッカー。ペーニャにとっては王座に近づく勝利となり、2位にもミラ/ヴィヴィアン組が入り、ルノー・フルーエンスGTがワン・ツー・フィニッシュを達成。
そして3位表彰台争いはポイントスタンディングにも大きく影響を及ぼす展開となり、終盤までその位置を守ってきた2016年王者のアグスティン・カナピノ/フランコ・ジロラミ組のシボレーYPFクルーズが突如エンジントラブルに見舞われ、誤作動によりスピードリミッターが固定されリタイアに。
代わって3番手にサンテロ/スパタロ組のカローラが浮上するも、すぐ背後まで追い上げていたエースのロッシ(ウルティア組)にポジションを譲りフィニッシュラインへ。これで3位表彰台に立ったロッシは宿敵ペーニャを5ポイント逆転し、再びポイントリーダーの座に返り咲いた。
終盤戦に突入したSTC2000の2019年シーズンも残すは2戦。第11戦は11月23〜24日の週末に、コルドバのリオ・クアルトで開催される。


