こうして迎えた決勝戦、レース1はニッサンMOTUL AUTECH GT-R’16でモンツァ、レース2はダラーラSF19スーパーフォーミュラ/トヨタでヘビーウエットコンディションのスパ・フランコルシャン、レース3はマツダLM55ビジョン・グランツーリスモでサルト・サーキットのシケインなし旧コース、そしてグランドファイナルはレッドブルX2019でインテルラゴスと続いた。

なんとこの4レースすべてをポール・トゥ・ウインで完勝したのがヒザルだった。
今回ヒザルはライバルがつけ入る隙のない週末を過ごした。追いすがるラトコフスキーを押さえ込み、危なげないレースを展開して終始トップの座を守り続け、まさにパーフェクトウインを遂げたのである。ヒザルはこれで今シーズン2勝目、ワールドタイトルは初めての獲得である。


ファイナル4レースの結果、2位には今回も粘り強く安定した速さを見せたラトコフスキーが入賞した。3位にはレース3で接触からのペナルティで7位へと順位を落としながらしっかりポイントをかせいだ宮園が食い込み表彰台に上がることとなった。
日本選手がワールドファイナル大会のネイションズカップで表彰台に上がったのは初めてのこと。次世代の日本のエースとしての座をさらに固める結果となった。

「ワールドチャンピオンになったという実感がありません。これがぼくの目標だったのでレースに備えて身体も絞ったんです。それがメンタル面にもいい結果を及ぼしたように思います。来年参戦できるかどうかわからないので今年に賭けて練習をかなりしました」とヒザル。
またもや2位に終わったラトコフスキーは「ミカエルとは2013年以来、良いライバルだし良い友人で、グランツーリスモファミリーの仲間なので祝福したいです。今回はクリーンなレースを心がけました。もっと練習して来年こそはチャンピオンになりたいです」とコメント。
そして上位の常連になった宮園は「バトルのなかで、攻めるべきところ、引くべきところがまだわかっていないことを感じました。そこを勉強して出直します」と語った。
なお、FIAグランツーリスモ選手権ワールドファイナル・マニュファクチャラーシリーズでは、日本の山中智瑛、フランスのライアン・デルッシュ、ブラジルのイゴール・フラガが組んだチームトヨタが、緻密な燃費管理をしながらミスのない“強い”レースをまとめあげて総合優勝を飾り2019年度のチャンピオンとなった。モナコの地に日章旗が翻った。

2年連続でのネイションズカップ王座を狙い敗北を喫したフラガは「ローリングスタートでどうすればもっとも良いスタートができるかを含め徹底的に練習を重ねて絶対の自信を持ってレースを迎えただけに本当に残念です。わずかなミスで非常につらい結果を招いてしまいました。でもマニュファクチャラーシリーズでチャンピオンになれたので救われました。リアルでもバーチャルでも、もっと強い選手になれるよう頑張ります」と語った。
こうして激しい戦いを見せた2019年FIAグランツーリスモ選手権ワールドツアーは幕を閉じた。ネイションズカップの新王者となったヒザルと、チームトヨタの山中、フラガ、デルッシュは12月にFIAが開く年間表彰式『FIA GALA』に招かれ、F1やWRCのワールドチャンピオンらとともに表彰を受ける予定だ。
