しかし、1年間のチャンピオンシップ経験で蓄積したTCRシリーズへの理解は確かに価値があり、マシンのコンディションはシーズン開幕前とは比較にならないとも明かす。
「マシンのワイヤリング(配線)の細かな修正や、エンジンマップの調整、サスペンションの最適なセットアップなど、シーズンを通じて細部に至るまであらゆる問題に対処してきた。それらを考慮しても、最終戦まで走らせたホールデン・アストラTCRはシーズン後半に入り、非常に高い競争力を示した」と続けたトッド代表。
「そうしたプロセスを経たマシンは、いつでも実戦投入が可能な状態だ。我々が努力を続けてきたすべての仕事に関して、2020年にそのリターンを得ることができなくなったのは少しばかり残念だね」
「でも、今はこの装備に数名が興味を示してくれている。これは僕たちにとっても、非常に良いことだ」
同じく、初年度のTCRオーストラリア・シリーズでアルフォロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR、ルノー・メガーヌR.S.TCRの各2台を投入した名門GRM(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ)は、ケリー・レーシングと対照的にVASCからの撤退をすでに表明済みだが、2020年に向けてはプジョー308TCRもラインアップに加え、そのドライバーには2000年のバサースト1000勝者ジェイソン・バーグワナを起用すると発表した。
このプジョー308TCRは、初年度最終戦にTCRでプジョーのファクトリー活動をサポートするDGスポーツ・コンペティションが持ち込んだ個体で、47歳のバーグワナは2年契約を締結。さらに2020年後半に初開催予定の500km耐久戦”バサースト・インターナショナル”には、18歳の息子ベンとのペアリングで出場することも決まっている。

