「我々は、安価であることを是とするF4の側に近い立ち位置にいる。よく耳にするように、近年はモータースポーツへの参戦費用がますます高騰し、実際に参入できる人々の数が限られてしまっている現実がある」
「この種の問題は、我々にとっても重要な観点であり、エントリーシリーズにとっての生命線でもある。多くの人々を電気自動車の世界に連れて行きたいなら、まず手頃な価格で提供することが何よりも重要なんだ」
「例えばイノベーション・クラスでも、フォーミュラEの規模感では実現不可能だと判断していた中小企業や大学などの研究機関が連携して、フォーミュラEに参戦する大手企業のOEMではない、独自技術のテクロジーが見られるかもしれないんだ」
その思想はチームの体制やドライバーのバックグラウンドにも持ち込まれ、EVテクノロジーや一般的なシングルシーター・チームなど、自動車関連事業に従事する人々だけではなく、さまざまなバックグランドを持つ企業にアプローチすることも可能となる。
「我々としても大学などの機関がイノベーション・クラスに参加することを望んでいるが、現時点ではモータースポーツへの関与を持ったことがない中小企業を中心に提携しているところだ」と説明するヴァンスウィンホーベン。
「そのほかにも、すでにF3やF4で実績を残してきたレーシングチームが、プロジェクトの一部にEVシングルシーターでの活動を検討する、というケースも将来的に目にすることになるだろう。同時に、F3やF4と並行して参戦するドライバーや、フォーミュラ・フォードを戦っているが、F4に昇格する予算がない、というドライバーにも活用できるはずだ」
「これは彼らにとっても、将来的な才能を示す機会を提供する場になるだろうし、とくにシーズン1では我々だけがジュニアEVシングルシーターのシリーズとして選手権を開催することになり、それなりの注目度を集めることもできるだろう。そこで他の誰よりも優れた結果を出せば、かなりの数の人の目に触れることにもつながるだろうね」
ERAチャンピオンシップの2020年のシーズン1カレンダーの策定は最終段階に入っており、この1月後半にはベルギーのゾルダーでトラック上でのデモンストレーションが開催される予定だ。

