2019/20フォーミュラE第3戦:ギュンターが最終ラップまで繰り広げられたバトルを制し初優勝
レース残り27分というところでは、マッサとエドアルド・モルタラというベンチュリ同士の争いが勃発し、またしてもターン10で接触。マッサがウォール側へと追いやられてしまうが、ダメージはなくそのままレースを続行する。
このベンチュリ同士の争いを尻目に順位を上げたのは、チャンピオンチーム、DSテチーターのジャンーエリック・ベルニュとアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ。ふたりはベンチュリ勢が接触している隙に、5、6番手へと順位を上げた。
レースの折り返しとなる残り23分ごろ、ニック・デ・フリース、ストフェル・バンドーン(メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム)、ルーカス・ディ・グラッシ、ダニエル・アプト(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)、ダ・コスタの5人にファンブーストが付与された。
そして、そのタイミングでは首位争いが激化。トップを行くエバンスに、2番手のギュンターが1コーナーでブレーキをロックさせながら襲いかかっていく。しかし、ここでは順位は変わらず。
だが、アタックモードを使用するギュンターは、その周のターン9でアウトからエバンスをオーバーテイク、トップに躍り出た。
残り20分となり、首位はギュンター、2番手にエバンス、3番手にウェーレイン、4番手モルタラ、5番手ベルニュというオーダーでレースが進んでいく。
ここでデ・フリースとマッサによる7番手争いが勃発。1コーナーでマッサがブレーキロックしながらオーバーテイクを試みるが、これはコースアウトしてしまい順位は変わらない。
レース残り15分、3番手を走行するウェーレインがアタックモードを使用し、前を行く2台の追い上げを開始する。しかし、思ったようにペースは上がらず、逆に4番手のベルニュに差を詰められてしまい、25週目のターン9でオーバーテイクを許してしまう。
3番手に浮上したベルニュだったが、その後、左フロントカウルが破損し、タイヤと干渉してしまうアクシデントが発生。白煙を上げながら順位を守るが、徐々にペースが落ちてしまう。走行中にカウルは外れたが、タイヤへのダメージが大きく、ピットへ入り戦線離脱となってしまった。
残り10分というところで、ジェローム・ダンブロシオ(マヒンドラ・レーシング)、デ・フリース、ブエミに“技術規定違反”として、レース結果に5秒加算のタイムペナルティが科された。
レース残り6分、2番手を走行するエバンスのペースが上がらず、ベルニュの離脱によって3番手に浮上した同じくDSテチーターのダ・コスタが、ターン9でアウトからエバンスを交わし2番手に上がる。ポールポジションスタートのエバンスはこれで3番手にまで後退してしまう。
ダ・コスタは、トップを走行するギュンターよりも1秒以上速いラップタイムを記録しながら追い上げる。残り3分というところで、遂にテール・トウ・ノーズに。
そして37周目、ダ・コスタがターン10のヘアピンで強引にギュンターのイン側にねじ込み、接触しながらもオーバーテイク。トップへと浮上する。しかしギュンターも諦めずにダ・コスタについていく。
39周目の1コーナーでギュンターが前を伺うが、ブレーキをロックさせてしまい順位は変わらず。BMW陣営はギュンターへ「諦めるなよ!(ダ・コスタを)やっつけようぜ!」と無線を送る。
そして迎えたファイナルラップにドラマが。2台に絞られた優勝争いは、テール・トウ・ノーズのまま最終ラップへと突入していく。2番手ギュンターは緩い左コーナーのターン8でダ・コスタのアウト側へと並びかけ、次のターン9へのブレーキングでブレーキをロックさせながらダ・コスタをアウトからオーバーテイクしトップ奪還。
そのままギュンターがトップフィニッシュ、2位にダ・コスタとなった。デ・フリースが3位でチェッカーを受けたが、5秒ペナルティがあるため、直後に走行していたエバンスが3位となった。
ギュンターは嬉しいフォーミュラE初優勝となり、BMW陣営は第2戦ディルイーヤのシムズから続いて2連勝となった。またレース後、「アンドレ・ロッテラーは最大許容エネルギー量を超えたため失格となった」とタグ・ホイヤー・ポルシェチームの公式Twitterがアナウンスしている。
次戦は2月15日にメキシコの首都、メキシコシティで第4戦が行われる。